全てのレス元スレ 2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/07/05(木) 07:38:26.06 :7Gyag1b60 『僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない』 冷房の効いた電車に揺られ、私は小説を読んでいた。その冒頭の一文だった。 確かこの作者は随分昔の人だった。晩年は廃屋に籠り、狂人のような生活をしていたらしい、という大学の友人からの聞きかじりの知識が頭の中に浮かぶ。 そうして文字を目で追っていると、電車はやがて私の実家の最寄り駅へと到着した。 駅名を告げる車掌のアナウンスと共に、空気を吐き出す音がして電車の扉が開く。私は読んでいた本を手持ちの小さな鞄にしまい、傍らに置いたキャリーバッグを転がして電車を降りた。 途端に粘つくような重たい湿気を含んだ熱気が身体にまとわりついてくる。 「……夏、ね」 呟いた言葉は発車のベルにかき消された。…