1: 七波羅探題 ★ Bz6BcFwl9 2026-02-03 07:09:43 東洋経済2026/02/03 6:30 近所の唐揚げ専門店が麻辣湯店になっていた……。 こんな入れ替わりを、街で繰り返し見かける。もちろん唐揚げ店だけではない。ラーメン店でも定食屋でも、空いたテナントに麻辣湯が滑り込んでいる。 「なんで急に、こんなに麻辣湯の店ができてるんだろう。確かに結構美味しいけど、そこまで人気なのかな?」 と首をかしげる人は少なくないだろう。と同時に、こんなことを思うかもしれない。 「タピオカ店とか、唐揚げ店が乱立した時と同じニオイがするな……」 もはや乱立と言ってもいい麻辣湯の店。なぜここまで増えているのか。そして、ブームはどこへ向かうのか。 ■人気の正体は「中毒性」×「免罪符」 ここ数年、麻辣湯は若い女性を中心に爆発的な人気を獲得している。専門店には平日でも行列ができ、SNS、とりわけTikTokでは食レポが量産される。投稿が行列を呼び、行列がまた投稿を呼ぶ循環に入っている。 筆者も大好きで週1ぐらいで食べているのだが、平日の15時ぐらいでも、行列が絶えないので驚きだ。 ぐるなびが選ぶ2025年の「今年の一皿」にもノミネート。「DIMEトレンド大賞2025」のグルメ・フード部門賞は、日本における麻辣湯の火付け役「七宝麻辣湯(チーパオマーラータン)」が受賞している。 麻辣湯は中国・四川省発祥で、スパイスの効いたスープに肉や野菜、春雨などを入れるローカルフード。 支持を押し上げたのは、「ちょうどいいバランス感」にある(と思う)。辛さには、繰り返し欲しくなる中毒性がある。一方、具材を野菜や春雨に寄せれば、重たさを抑えながら満足感が得られる。背徳感の少ない刺激。ここが強い。ラーメン的な快楽を、より軽い入り口で享受できる、と言い換えてもいい。 ■女性の心をグッと掴むことに成功した 特に、この強みは「女性」に効く。麻辣湯店の店内は、ほとんどが若い女性である。あるとき、男性である筆者以外、全員が女性のお客さんだったこともあるほど。女性にとって「油」や「糖分」など、中毒性があるものは敬遠されやすい。 しかし、女性だってそうしたものを食べたい。そんなとき、ヘルシーさという免罪符がある麻辣湯はぴったりなのではないか(余談だが、その意味で筆者は麻辣湯を「女性の二郎系ラーメン」とこっそり呼んでいる)。 しかも麻辣湯は、食べる前の楽しさもある。多くの麻辣湯店では、具材を自分で選び、その種類や量を決める。食事に向かう体験が、魅力の一つにもなるのだ。 自分で組み立てた一杯は写真にも言葉にもなりやすい。麻辣湯ブームの真相は、味覚の流行と「選ぶ」ことの流行でもある。 日本において麻辣湯を広めるのに一役買ったのが、七宝麻辣湯(チーパオ)である。2007年創業。仕掛け人はフードライター/飲食コンサルタントの石神秀幸氏だ。 筆者は以前、石神氏にインタビューをしたことがあるが、その人気の理由が面白かった。 石神氏は、未知の食べ物は感度の高い街でまず見つけさせる必要がある、と考えたという。創業店は渋谷。その後も赤坂・恵比寿・五反田など、目の届く範囲、かつ感度の高い街に積み上げていく。東京集中の出店なのである。結果としてメディアも人も集まる都心で、徐々に人々の意識の中に麻辣湯が印象付けられていった。石神氏は、チーパオが広がり始めたのは19年に恵比寿へ出店した頃からだという。恵比寿といえば、食の感度がひときわ高い街。その辺りから、徐々に人気が作られていったのである。 もともと、石神氏が麻辣湯に目をつけたのは03年。石神氏がシンガポールで麻辣湯を食べた体験にある。そこで感じたのは「おいしい」だけではなく「トッピングを選ぶのが楽しい」という感覚だった。スパイスを分析すると健康に良さそうだともわかった。当時の日本では、OLがコンビニでカップ春雨を買う流れがあり、その流れに乗ることができるのではないかと考えたという。 ただ、そこでは流行に乗っただけではない。チーパオでは、徹底して味にこだわっている。そのスープはセントラルキッチンで作るのではなく、基本的に各店で炊く方式を採っている。創業当初は濃縮スープを使っていたが売り上げが伸びず、試しに店でスープを炊いたら一気に客足が伸びた経験があるからだ。 日本において麻辣湯を広めるのに一役買ったのが、七宝麻辣湯(チーパオ)である。2007年創業。仕掛け人はフードライター/飲食コンサルタントの石神秀幸氏だ。 筆者は以前、石神氏にインタビューをしたことがあるが、その人気の理由が面白かった。 ※以下出典先で…