1 名前:昆虫図鑑 ★:2025/02/25(火) 08:54:48.11 ID:HxwRSDpp.net 中国は長い春節休暇が終わり、通常モードに戻った。春節期間中、東京在住の張さん(男性)も故郷である東北部の吉林省に帰省していたが、ようやく戻ってきた。 故郷でゆっくりできて、さぞ楽しかっただろうと思いきや、張さんは「いや、もう疲れ果てました。中国の濃い親戚づきあいが本当に大変で、大変で……。やはり、日本の生活が楽でいいですよ」と愚痴が止まらない。そして、故郷で起きた出来事を一気に語り出した。 (略) 張さんによると、叔父さん一家は2台の車に分乗し、春節3日目に現地を出発。走行距離は約1200キロ。休憩を挟んで15時間もかかるという。広大な中国国内の帰省としては、遠いほうではないが、それでも1200キロを家族9人で移動するのは大変なことだ。彼らは途中でホテルに一泊し、2日がかりでやってきたというが、そのお土産の量がハンパなかった。 「車に積んできたのはスイカ4個、リンゴ30キロ(100個以上)、白菜10個、5リットル入りの大きなごま油のボトル3本、健康食品、卵100個です。いずれもきれいな箱に詰められており、プレゼント用の大きなリボンなどがつけられていました。日本では大きなお土産は置くところがないし、返って相手にとって迷惑ではないかな、と相手のことを考えますよね。 それに、日本ではエコの意識も進んでいるので簡易包装が主流ですが、中国の田舎ではまだ仰々しく、大きなお土産が多いんです。たくさんのお土産を持っていくことはメンツにもかかわりますので、多いこと=いいことなんです。それにしても、ふだん日本の生活に慣れている私は、その量に仰天してしまいました」 (略) 恐怖症レベルに多い人づきあいに疲弊 そのようにして親戚と春節を過ごしたが、張さんは中国に帰省すると、いつもお腹を壊す癖がある。日本での生活が長く、中国の「ギトギトした脂っこい中華」が苦手だからだ。それに中国の野菜や果物に使用されている農薬も心配なので、どんな食材を使っているかわからないレストランでの外食ではなく、できるだけ自宅で料理をして食べたいと思っている。 だが、中国に帰ると、いつも友だちやその家族、古くからの知り合いなどからの電話がジャンジャンかかってくる。それを張さんは「春節の電話攻撃恐怖症」と呼んで笑う。 皆、せっかく張さんが帰省したので、良かれと思って誘ってくれるのだが、外食が好きではないことに加え、人づきあいが苦手なので、スマホの電話が鳴るたびに張さんはびくびくし「何と言って断ったらいいか」と考えていたという。 中国語で「関係(グアンシ)」というが、中国では人間関係を重視し、とにかく人と人のつき合いを大切にする。社会制度よりも人間関係で物事を解決してきた習慣があるのだ。もし何かあったら、どんなことでも助けてくれるのが中国の強固な「関係」で、血縁はもちろん、友だち同士でも行う。だから、直接お互いの顔を見られる春節は「関係」を保つ上で大事な時間なのだ。 そのため、食事会のお誘いがひっきりなしなのだが、日本でのさっぱりとした人つき合いに慣れている張さんにとって、中国の人間関係は濃すぎて重荷に感じる。何かあったとき、助けてくれるのはありがたいが、逆に相手も自分にそれを求めている。そうした、持ちつ持たれつの関係を徐々に苦しく思うようになったのだ。 (略) 別れ際、張さんは私に「日本では高齢化や少子化で親戚の数自体が大幅に少なくなったし、中国ほど親戚づきあいで悩む人は少ないですよね。やっぱり自分は日本がいいなぁ」とつぶやいた。 中島 恵 引用元:…