474:本当にあった怖い名無し:2006/07/03(月) 13:00:32 ID:nzLij7lu0幽霊を一度でも見てしまったら、生きていられない。 そんなものがほんとうにいると分かってしまったら、もうトイレの扉は開けられないし、 風呂場で頭を洗うのもできないだろう。普通に生活なんかできない。確実に発狂する。 そう思っていた。 アパートの退去期限が迫っていたので、俺は夜中まで作業をしていた。 電気はもう止めていたので、部屋のなかは真っ暗だった。 あと残っている家具はベッドとテレビと絨毯、カーテンのみになった。掃除はまだだが、 なんとか作業完了の目処は立った。 今度住む所は近場だったので、荷物はすべて手で運んだ。何十往復したか分からない。 時計を見ると午前3時。朝から20時間、休みなしだったので腰が痛い。脹脛は震える有様。 さすがに限界で、俺はベッドに腰掛け、煙草に火を点けた。3本立て続けに吸って、 しばらくぼうっとしていた。 そのとき、庭のほうで足音がした。ザクッ、ザクッ、ザクッ、と割と早足。 庭を夜に歩く一階の住人なんかいない。また、外部の人間が裏手の庭に入るには、柵を 乗り越えてこない限り、不可能だった。 一瞬、思い浮かんだのが、包丁を持った泥棒の姿。違うとしても、まともな人間ではない。 足音が俺の部屋の前まで来たけど、カーテンが引いてあるので見えない。 (鍵、かけてたっけ…) ちょっと焦ってドアに手をやったとき。 ドンドンドンドンドンドン!ドンドンドンドンドンドンドンドン! 夜中にも拘らず、物凄い勢いでドアを叩かれた。そして、 「※※※あけてくださーい。※※※あけてくださーい」 という声。幼い、といってもいいくらいの女の子の声。 ※※※――ガラス?ハヤク? 声は大きかったんだけど、よく聞き取れなかった。…