23年前に発覚した青森県住宅供給公社を舞台にした巨額横領事件。14億円超を横領し、その大半をチリ人妻側に送っていた元職員、千田郁司(ちだゆうじ)元受刑者(67)が、朝日新聞の取材に応じ、いまの心境を語った。 千田氏は、公社の経理担当という立場を悪用し、銀行で公社の口座から現金を引き出すなどの手口で14億円超を横領。そのうち少なくとも約8億円(千田氏の供述によると約11億円)をチリ人妻のアニータ・アルバラードさん(51)側に送っていた。 2016年に懲役14年の刑期を終えた千田氏は、アパートで一人暮らしをしながら、職を探す日々を送っている。 千田氏は取材に応じた理由について「もう年も70近くなりましたし、事件についてお話しすることが人生のけじめになる」と語った上で、「私の横領事件のせいで、精神的負担や金銭的負担など迷惑をかけた方々が、公社や青森県民、色んな人に及んでいる。おわびしなければならない」と語った。 青森県住宅供給公社巨額横領事件(あおもりけんじゅうたくきょうきゅうこうしゃきょがくおうりょうじけん)とは2001年に発覚した横領事件。 青森県住宅供給公社の元経理担当主幹(以下A、逮捕当時44歳)が、1993年2月から2001年までに約14億5900万円を横領し、2001年度仙台国税局税務調査を切っ掛けに発覚した。 横領は1993年2月から始まったが、公訴時効のため最終横領額は不明となり、1994年10月以降の約14億4600万円に対し横領罪で起訴された。Aは青森市の飲食店で知り合ったチリ人女性アニータ・アルバラードと結婚した1997年から横領額が急増し、約11億円がチリ人妻に渡ったとされる。 2002年、青森地裁は懲役14年(求刑は15年)の実刑判決を言い渡した。住宅公社はAに対し民事訴訟を起こし、1993年2月以降の横領額全額の賠償を命じる判決が出た。公社はアニータがサンティアゴ郊外に建設した自宅や、Aの青森の自宅を売却するも、裁判費用や弁護士費用が嵩み、5300万円程度しか回収することができなかった。 関連記事…