336: 蝉しぐれ 投稿日:2009/07/07(火) 23:11:49 ID:QSbb9YjH0 去年の夏のこと。場所は兵庫。ドライブがてら遠回りして、峠を越えて友人の家に向かっていた時の話し。 通ったことのない道で、木が青々と繁茂し、蝉がうるさかった。 前方に猫だか狸だかが跳ねられて死んでいた。端っこなら問題はないけど、ちょうど右タイヤが通るあたりに 転がっているので速度を落とし、迂回を余儀なくされた。 ジジジジジジジジジジジジジジジジジ 蝉がうるさかった。面倒だなぁと思いつつ、左に膨らもうと死骸から目を離すと、迂回に使おうと考えていた コースに農作業姿の婆さんが突っ立っていた。 邪魔だよ!と思ったが、さらにスピードを落とすと、婆さんが死骸を指差しているのが分かった。 しかも気色悪いほどの笑顔でこちらを見ている。ほら見てッ、と言わんばかりに嬉しそうに死骸を指差していた。 夏だったけど峠道のためクーラーをoffにして窓を全開にしていたから、車内に蝉の声が直に入ってきている気がした。 蝉はうるさいし猫か何かは死んでるし、頭のイカレた婆さんが笑ってるしで、目眩がした。 ジジジジジジジジジジジジジジジジジ ゆっくりと婆さんの横を通り抜ける。指こそ引っ込めてくれたが、やはり俺におぞましい笑顔を向けている。 首に巻いたタオルだか手ぬぐいだかが黒く汚れていた。 ジジジジジジジジジジジジジジジジ…