220 本当にあった怖い名無し2008/10/26(日) 23:51:51 ID:nRpiE0H90これは五年程前からの話です。当時、私は浮浪者でした。東京の中央公園で縄張り争いに敗れて、危うく殺されかけ、追放されたあと各地を転々とし、最後に近畿地方の、とある山中の神社の廃墟に住まうようになりました。ふもとに下りては、何でも屋と称して里の人の手伝いをし、手間賃をいただいて食いつなぐ身の上でした。その生活の中で一番恐ろしかったのは、人間です。「何でも屋です。何が御用はございませんか」といっただけで、いきなり猟銃を向けられた事も御座います。「一度弾を込めたまま、人間に向けてみたかったんだ。ほらよ」と、口止め料まがいの大金(恐怖に慄いた代金は一万円でした)を渡されましたね。付近を走る暴走族に、「お前に人権はねえ」と追い回され、棒切れで叩かれた挙句、足が折れたこともございます。その時は、よく手伝いにいくかわりに野菜を分けていただいてた農家の方が、様子を見に来てくださり、あやうく歩けずに餓死するところを救われ、病院にかかる代金までもっていただきました。その農家の方からは、さまざまな恩を受けました。「手に職はあったほうがいい。うちじゃ雇ってやれないから、せめて作物を育ててみて」そのように仰り、色々な苗や種を分けていただきました。荒れた境内の砂利を少しよけて、硬い土をたがやし、近くの川からへたくそな水路をひいて引き入れ、ちょっとした農園をつくるに至りました。ある時、何度かに分けて訪れた茶髪の廃墟探検の人たちに、この農園は大量の除草剤を撒かれて、全滅させられました。私はこういう団体が来る度、暴走族の一件を思い出して隠れるようにしていたのですが、このときほど、角材でももって殺してやりたいと思った事は御座いません。そこでの生活は、どなたかから恩を受け、それをどなたかに奪われることの繰り返しでした。…