そもそも「つまらないものですが…」はどういう意味でしょうか?「つまらないものですが…」という表現については、以前、五千円札に肖像画が描かれていた新渡戸稲造が、日本人の道徳観や思想を著した『武士道』という本の中で、自分なりに最大限に誠意をもって選んだ品物でも、立派なあなたの前ではつまらないものに見えてしまう、という尊敬の意を込めて使われると解説しています。つまり、「つまらないものですが…」は「立派なあなたに比べたら、つまらないものですが」という意味であり、差し出す物を取るに足らないものとして言っているのではなく、相手に敬意を払い、立てる表現として使われていました。前半部分が省略され、当初の意味合いから離れ、つまらないものという表現が一人歩きしてしまったと言えそうですね。また、立派なあなたに比べて… という表現が現代においては、少し大げさに感じられるのかもしれません。…