[ 1 ] 心臓の働きが悪くなる心不全の患者が増えている。国内には120万人もの患者がいて、国民の100人に1人が心不全といわれる。高齢化を背景に今後、激増すると予想され、「心不全パンデミック(世界的大流行)」も危惧される。病状や最新の治療、予防策などを3回にわたって紹介する。(長田真由美) 岐阜県東濃地方の女性(68)が体に異変を感じたのは、8年前だった。せきが続き、夜に眠れない。近所の内科を受診したが、せきぜんそくと診断され、薬を処方された。 服用を続けたが良くならず、少し動くだけで疲れるなど体調は悪化した。3度目の受診時にエックス線で撮影したところ、肺に水がたまる肺水腫が認められ、原因不明の急性心不全と診断。近くの総合病院に即入院となった。 検査の結果、心臓を取り巻く冠動脈の一部が細くなっていると分かり、血管を広げるステントを入れる手術をした。退院後は職場に復帰。ほっとしたのもつかの間、次第に呼吸が苦しくなり、階段が上れないなど日常生活が困難に。最初の入院から1年後、2度目の入院となった。…