元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/18(土) 23:41:09.98 :ljRbnvDF0 ネリー・ヴィルサラーゼの悼報が伝えられたのは、インハイ準決勝の前の晩のことであった。 突然のことで大層驚いたが、それにもましてその死に様はなんとも不思議であったと云う。彼女が死んでいたのは、或るホテルの一室である。彼女の喉仏には、細長い猫のような人形が唐結びなって食い込んでおり。掌は虚空を掴むかのように、頭の上へと伸びていて、顔は熟れきったトマトのように紅く、その表情は悶絶していたのだった。 所謂、絞首であった。 ホテルの扉は、内側から鍵が掛かかるようになっており、室の中も誰かと争ったような形跡は見られなかった。何か盗られた物はないかと調べようにも、彼女が何を持っていて何処に仕舞ってあるかは誰も知らないのだ。 他に、ホテルの備品など盗まれた当も無く、ましてや外から人が入った形跡も見つからなかった。テーブルには、格選手に配られていた弁当の空箱が山積みになっており、それ以外はすっかり片付いていた。 現場の有り様には物取りにしろ、怨恨にしろ、腑に落ちない点が幾つもある。 ––––この事件には不可解で無いことなど何一つ無かったのだ。 次の日、知らせを受けた臨海の控え室では、その同胞の死の話題で持ち切りであった。 ダヴァン「それにしてもサトハは大袈裟デスネ。アンナに泣かなくてもいいじゃないデスカ」 ダヴァンは手を叩き、ケラケラと嗤いながら言った。…