1: それでも動く名無し 2023/05/21(日) 18:32:10.24 ID:PU1yhkqC0 50 名前:受験番号774 投稿日:05/02/09 15:15:42 ID:axbB3/xP なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。 一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。 俺が貧乏浪人生で、お前が月20万稼ぐフリーターだったとき、 おごってもらったのが白木屋だったな。 「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。金が余ってしょーがねーから」 お前はそういって笑ってたっけな。 俺が大学出て入社して初任給22万だったとき、 お前は月30万稼ぐんだって胸を張っていたよな。 「毎晩残業で休みもないけど、金がすごいんだ」 「バイトの後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」 「社長の息子も、バイトまとめている俺に頭上がらないんだぜ」 そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白○屋だったな。 あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり白○屋だ。 ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。 別に安い店が悪いというわけじゃないが、ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。 油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。 なあ、別に女が居る店でなくたっていい。 もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店を いくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは? でも、今のお前を見ると、 お前がポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、 俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。 お前が前のバイトクビになったの聞いたよ。お前が体壊したのも知ってたよ。 新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う、20代の若いフリーターの中に混じって、 使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になってバイト続けているのもわかってる。 だけど、もういいだろ。 十年前と同じ白木屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。 そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ。…