ベトナム共産党機関紙の人民報(中国語電子版)はこのほど、一時は同国市場で大躍進した中国系オートバイが「没落」して、日本ブランドが改めて勝利した経緯を紹介する記事を発表した。 ベトナムは現在、世界第4のオートバイ市場だ。ベトナム二輪車製造業者協会(VAMM)によれば、2022年におけるオートバイ販売台数は前年比20.5%の300万3160台だった。販売台数は新型コロナウイルス感染症の低迷で落ち込んだが、3年ぶりに300万台を突破した。同年第1四半(1-3月)は前年同期比で7.4%増だったなどで出足がやや鈍く、新型コロナ発生前の水準は回復できなかったが、第4四半期には同207.7%増と、目覚ましい伸びを示した。 ベトナムのオートバイ市場はホンダ、ヤマハ、イタリアのピアッジオ、スズキ、台湾のSYMの5社で占められており、VAMMの統計もこの5社の業績によって作成されている。 外国ブランドとしてベトナム市場を最も早く席巻したのは、日本のオートバイだった。1998年には、ベトナムのオートバイ市場の98%が日本のオートバイだったという統計もある。一方で中国系のオートバイは、ベトナムは隣国であるという「地の利」を生かして、99年ごろからベトナム市場に「殺到」するようになった。 中国のオートバイメーカーはベトナムで価格競争を展開した。日系や韓国系のオートバイより圧倒的に安価だった中国系オートバイは、ベトナム市場を「切り取って」いった。 中国のメーカーにとっては、価格を下げつづけるために、コストを圧縮するしかなくなった。コストを圧縮するために、オートバイの品質を下げた。消費者は次第に、中国ブランドのオートバイを見放していった。 そして今では、ベトナムの街で中国系オートバイを見かけることはほとんどなくなり、道を走っているオートバイのほとんどが日系のオートバイとなった。 中国のメーカーはベトナム市場で「得を取ろう」として大損をすることになった。あまりにも急速に成果を出そうとすれば、重い石を持ち上げて自分の足の上に落とすようなことになる。天下を勝ち取るために頼れる「武器」は、品質以外にはありえない。…