名経営者も見誤ったテスラ躍進 非常識にこそ革新の芽 2017年12月。日立製作所の会長だった故中西宏明さんに、経団連人事について取材を重ねていたときのことだ。 「見ててごらん、あれはいずれ崩壊するから」。不意に話題が米テスラに及ぶと、そう切り出してきた。 博覧強記で国内外に広い人脈を持つ。それまで数々の予言めいた言葉をくれた中西さんだ。根拠はあるのかと問うと、目だけが笑っていない表情で続けた。 「だって、いろいろ聞いてるもん。量産が全然できてない。あんなの、ものづくりじゃないよ」 しかし名経営者の読みは当たらなかった。 テスラの生産能力はいまや年200万台規模と、ドイツのメルセデス・ベンツグループやBMWに並ぶ。 時価総額は当時の16倍の120兆円強に達し、トヨタ自動車から第一三共まで日本の上位10社を束ねた合計におよぶ会社になった。…