元スレ 全てのレス 2: ◆w72AKbkgD2:2016/02/12(金) 12:30:48.12 :5vWbXCau0 暦の上では春を迎えたばかりのある日の昼、藤原肇は事務所から素早く出てきた。 春なんてうそ。そう言いたくなるような冷たい空気が、ツンと鼻を刺す。 こんな形でこの鍵を使うことになるなんて。 肇の歩みは自然と早くなる。 もっと早く、何か楽しいサプライズで使っておけば良かった…… そんなことを今考えても仕方ない。 名前のこともあるのかもしれない。初めてのことに、肇はこだわりがあった。 何事も初めては楽しい方が良い。 楽しいと思って始めたことであっても、続けているとつらくなる時が来る。 そんな時は、初心を思い出す。 壁を乗り越える魔法の手段だと肇は思う。 だから、初めては楽しい方が良い。 こんなに心配な気持ちでいるよりは。…