韓国ではなぜノーベル科学賞受賞者が出ないのか 「我が国ではいつ頃ノーベル賞が出るだろうか?」こういう話をする方々がかなり多い。 隣の日本がほぼ毎年ノーベル賞を受賞し「母の友人の息子」(訳注:「なんでもできる優れた息子」的な意味)の役割をしているので、剥奪感がさらに大きくならざるをえない。(中略)私たちがずっとノーベル賞の話をするのは科学分野の受賞者が出てこないからだ。 科学分野のノーベル賞(以下、科学賞)こそ国力の程度を示す指標だからだ。 (中略) 一部では、我々がノーベル賞に執着しすぎていると批判する人もいる。 しかし、韓国ほどの国なら、このような愚痴を言うのが正しい。 平和賞や文学賞とは異なり、科学賞は偉大な個人が心を固く決めて努力したからといって取れるものではない。 教育システムがよく構築されており、研究のための施設・装備が備わっており、研究費の後押しがあってこそ取ることができるという話だ。 実際、科学賞を多く受賞した国々は大部分が強大国であり、日本もやはり個人基準31人のノーベル賞受賞者のうち28人が科学賞受賞だ。 私たちも「科学賞を取らなければならない」という言葉は、もう大韓民国も強大国になったということを認められるという意志の表現かもしれない。 だが、私たちが世界10位圏の経済大国になり、サムスン半導体が世界を石けんしたからといって大韓民国が「当然」科学賞を受けることができるわけではない。研究費が足りないという言い訳はもう通じない。GDP比での我が国のR&D(研究·開発)比率は5.1%で、世界最上位圏となる。それでは理由は何だろうか? 第一に、韓国では冒険的な研究をしない。 科学賞はこれまでになかった新しい原理や発見に加重値を与える。 例えば、2011年の生理医学賞受賞者であるラルフ・スタインマンの始まりは、ネズミの脾臓で生まれて初めて見る、突起が外に伸びている細胞の発見だった。 これを樹枝状細胞と名付けた彼は、誰も関心がなかったその細胞を長い間研究した末、これが外部から入ってくる有害物質を免疫系に知らせる役割をするという事実を知り、ノーベル賞を受賞した。 2016年、「オートファジー(自家捕食)」メカニズムを究明した功労で生理医学賞を受賞した日本の大隅教授は、数十年間毎日顕微鏡で酵母を覗き見るのが自分のしたことの全てだったとし、「多くの人々と競争することに慣れていなかったし、他人がしないテーマに没頭するのが楽しかった」と話した。 韓国ではこのようなことが難しい。 最もホットで短期的な成果を出せる研究だけに研究費が集中しているため、新しい分野に挑戦するのが難しいということだ。 第二に、第一に通じる話だが、韓国の研究界は失敗を許さない。 先進国の基礎科学研究の成功率が30%に満たないことから分かるように、研究は本来成功するのが容易ではない。 (中略)韓国のR&D課題成功率は何と98%だ。 どうしてこんなことができるんだろう? 韓国では研究費を受け取った後、それに見合う結果を出すことができなければ、その研究者は今後の研究費受注の際に不利益を被る。大部分の研究員が研究費で生計を立てている状況であるため、これはすなわち研究チームの解体につながる。 その結果、挑戦的な研究ではなく「成功することがほぼ確実な研究」ばかりが主流になってしまう。 第三に、研究の多くが大学で行われていることも問題である。 教授が優秀な研究人材であることは事実だが、教授が気を使わなければならない昇進と再任用には論文の質より量がさらに重要だ。新しい知識を生み出すという研究本来の目的よりも、昇進のための実績づくりを目的とした研究に偏りかねない、ということだ。(中略)2002年化学賞を受賞した田中耕一も大学教授ではなく、日本中堅企業島津製作所の主任だった。 もはや韓国も長期的で安定的な研究ができる国や企業レベルの研究所がなければならない。 韓国の人材が科学賞候補にいつも上がって、毎年賞をもらうその日を祈る。 (引用ここまで) 韓国はなぜ自然科学系のノーベル賞を受賞できないのか。 ま、それはそれとして。 今年も日本人受賞者が出ました。 これで自然科学系で日本人は25人。日本出身の外国籍が3人かな。計28人。 楽韓Webをはじめる前(2002年10月)までだと8人(2002年にふたり)だったので、だいぶ増えたものです。 だいたい、イメージとしては年にひとりのペースくらいになっていますかね。 たしか民族史観高校の例の台座って「日韓の自然科学部門のノーベル賞の数の差」だけあったはずなんですが。 いまは28になっているんですかね。 ……と思って調べたら、1996年の開校当初から15でいまも15のままでした。 思いこみはいかんな。 ちなみにこの台座は「韓国人受賞者」ではなく、民族史観高校出身のノーベル賞受賞者用だそうです。がんばれー。 成功しやすい研究を選択して、「成功させる」のも戦略、選択肢としてはありだと思いますよ。 そこからまたなにかが少しずつ進む可能性だって大いにありますしね。 ただまあ、そうした研究方針だと「長足の進歩」や、「新たな発見」にはつながりにくいでしょうし。 「発見」や「発見からの大きな進歩」を評価するノーベル賞にはつながらないかな。 別にそれはそれでいいと思うんだけどなぁ。 韓国はそうやって成長してきたわけですし。 なんならひとりあたりのGDPはドルベースで日本を超えたり超えなかったりしているんでしょ? まあ、10年ほど前に「金メダル数で日本を超えたので、ノーベル賞でも超えるだろう」とか言っていたKAISTの教授とかもいましたけども。 ちなみに手元では「いつごろノーベル賞が取れるか」って話に関する最古の記事は1996年に大学生へのアンケートが行われたってもの。 48.6%の学生が「10年以内」って答えていて、もっとも可能性が高いのはなにかって設問には36.6%が「平和賞」、次が「文学賞」で28.9%でした。 けっこう自己診断しっかりできてますね(笑)。 note.comで楽韓noteを開設しています。 中味は楽韓Webを濃厚に仕立てた長編記事。最新の記事は「 韓国はなぜウクライナに噛みつき、北朝鮮には配慮するのか ── 北朝鮮兵士捕虜の韓国移送が見せるイ・ジェミョン外交の矛盾 」となっています。 また、楽韓noteメンバーシップを開いています。月に6〜800円くらいになる有料記事が全部読めて月額500円。だいぶお得になってます。 マガジンから移行していただけるようお願いします。 Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex…