1: 匿名 2026/10/06(火) 12:28:58 ID:0UbQ29YoM.net しかし、その幸福な時間は長く続きませんでした。退職から半年が過ぎたころ、当てにしていた不動産事業に異変が生じます。リョウさんが所有する地方アパート(全10室)は、購入時には「高利回りの優良物件」と宣伝されていた築20年の建物でした。長年住んでいた入居者が退去したのを手始めに、空室が次々と発生。周辺には駅に近い新築物件が相次いで建設されており、駅から距離のある築古のアパートは競合に太刀打ちできませんでした。あっという間に半数の5室が空室となり、期待していた家賃収入は半減してしまったのです。さらに老朽化した建物の修繕費や給湯器の交換費用など、不意の出費が数十万円単位で発生。追い打ちをかけるように株式市場も低迷し、配当金の減額と含み損が二重でのしかかりました。年間400万円を想定していた不労所得は、半分以下の200万円未満にまで落ち込んだのです。不足する生活費を補うため、リョウさんは絶対に手をつけてはならないと決めていた投資信託の解約に踏み切りました。一度元本を崩し始めると、資産の減少スピードは加速度的に早まります。元本が減れば翌年以降の配当収入も減るという悪循環に陥り、1億円あった総資産はみるみる削られていきました。冷ややかな視線を向ける妻との関係も悪化し、絶望に打ちひしがれたリョウさんは退職からわずか1年で再就職を決意します。しかし、特別なスキルを持たない58歳に正社員のポストを用意する企業など存在しませんでした。窮地に追い込まれたリョウさんはプライドを捨て、かつての部下で現在は自分の後任として部長職に就いている佐藤さんに電話をかけました。「頼む……正社員じゃなくていい、アルバイトでも構わないから、俺をもう一度会社で雇ってくれないだろうか」…