
予告していた「四国統一の旅」に、ついに行ってきました。ところが今回は、台風25号、台風26号、そして長雨まで次々と襲来。天気予報を見るたびに「またかよ……」という感じでしたが、なんとか大きなトラブルもなく、無事に旅を楽しむことができました。(プチトラブルはありました)四国には、日本100名城・続日本100名城が合わせて15城もあります。さらに、現存12天守のうち4天守が四国に集中しています。これはもう、お城マニアにとってはたまらない場所です。もちろん城だけではありません。絶景あり、温泉あり、うまいものあり。そして何より、バイクで走って楽しい道が多い。天気にはかなり振り回されましたが、それも含めて旅の思い出ということで(笑)。それでは、今回の「四国統一の旅」を振り返ってみたいと思います。 9/22(火) 18:00 東京(有明) からフェリーで出発 出航1時間前には到着し、乗船手続き。メールのQRコードを読ませれば、必要書類が出ていて終了。簡単。船は「しまんと」 今回乗ったフェリーの航路は「東京~徳島~北九州」。徳島で降りることを知らせる紙をペタッと貼って、これだけでテンションが上がります(笑)。ちなみに今回の旅も、隼さんと一緒に行動します。 船内で1泊するフェリーに乗るのは、約30年前に大洗から苫小牧まで乗って以来。あの頃は一番安い部屋といえば、みんなで雑魚寝するタイプでした。それを考えると、令和のフェリーはかなり進化しています。今回の一番安い部屋は、なんとカプセルホテルのような個室タイプ。コンセントもあるし、プライバシーもあるし、寝るだけならこれで十分です。昔の「雑魚寝」を知っている身としては、これはかなり快適。時代の進歩を感じますね。 結構、出航ギリギリにやってくる車も多いです。というか、出航時間を過ぎてから乗ってくる車までいました。いったい、旅慣れているのか、ものすごく焦っているのか、それとも何とも思っていないのか……(笑)。自分には、とてもマネできません。ビビりなので、30分前に着いていても「ちゃんと乗れるよな?」とドキドキしてしまいます。そんなことを考えているうちに、いよいよ出航。そして出航してすぐ、東京ゲートブリッジをくぐります。これだけでも、普段の生活とは違う非日常感があって、テンションが上がりますね。 東京湾から脱出するせいか揺れてきた。ゲートブリッジはキレイだった。 pic.twitter.com/q2EY7U5qPk— Hiro (@hiroiroiro) September 22, 2026 出航してしまうと、やることが一気になくなります。とりあえず、フェリー名物の自販機ご飯を物色しながら船内をブラブラ散策。そして最終的にやることは……Googleマップで「今どこ走ってるんだ?」と確認するだけ。船旅って、意外とこの「何もすることがない時間」が楽しかったりするんですよね。 酔い止めを飲んでいるせいか、だんだん眠気が襲ってきました。船はゆっくりと徳島へ向かって航行中。まだ外は動いていますが、眠気には勝てず、今日は早めに就寝することに。明日はいよいよ四国上陸です。 9/23(水) 13:30 四国に上陸! 朝は少し早めに起きて、甲板へ。ちょうど朝日が昇るところで、海の上から眺める朝日は格別です。「今日も良い天気だ!」天気に悩まされる今回の旅ですが、この日は幸先のいいスタート。朝飯を食べて、ひと風呂浴びたら、いよいよ徳島港に到着です。さあ、ここから四国統一の旅が始まります。 徳島港に上陸したあとは、勝瑞城、徳島城、一宮城と立て続けに攻略。順調な滑り出し……と思ったのも束の間、思った以上に気温が上がり、徳島城の時点ですでに汗だくです。そして次の一宮城。ここは本丸まで約30分ほどの登山になります。さすがにこの暑さで登り続けるのは危険と判断し、少し登ったところで引き返すことにしました。「せっかく来たのに」と思わなくもないですが、ここで無理をしないのも大事。まだまだ長い旅ですから、無理して体力を使い切るより、引き返す勇気も必要です。 読者の方に教えてもらった「東大」で、今回の旅最初の四国メシ。初めての徳島ラーメンということで、どんな味なのかワクワクしながら注文しました。出てきたのは、すき焼きの割り下を思わせる甘めのスープに、豚バラ肉、そして生卵。これが徳島ラーメンのスタイルらしい。実際に食べてみると、スープはかなり甘め。ただ、単純に甘いだけではなく、豚骨のコクと醤油の味がしっかり効いていて、意外と後を引きます。そこに豚バラの脂と生卵が加わることで、味がさらにまろやかに。これは確かに、ご飯が欲しくなる味です。口コミを見ると合う人とそうでない人がいるようですが、自分は完全に合う派。腹も減っていたので、ライスまで注文して、スープを少し絡めながら一気に食べてしまいました。これは徳島に行くなら一度食べてみてほしいですね。しかも、ライスと生卵は無料サービスで、これで800円。物価高でラーメン1杯が1000円を超える店も珍しくない中、かなりのコスパだと思います。四国最初の食事としては、大満足のスタートでした。 ラーメンで腹を満たしたあとは、海岸線を走りながら今日の宿を目指します。夕方の海を眺めながらバイクを走らせるのは、やっぱり気持ちいい。旅に来たなという感じがしてきます。そして、19時ごろに宿へ到着。とてもかわいらしい雰囲気の宿で、部屋も思っていた以上に広くて快適です。どうやらサーファー御用達の宿らしく、海好きにはたまらない立地。風呂に入って汗を流したあとは、自宅から持ってきた「フロム・ザ・バレル」で一人乾杯。ちなみに今回の旅、連れの隼さんとは別々の部屋です。一緒に旅をしているのに、夜はそれぞれソロ活動。これくらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。 9/24 高知県を堪能するぜよ チェックアウトは何時でもいいとのことだったので、朝6時ごろに宿を出発。この日の始まりは室戸岬まで走り、そこで朝ご飯(前の日に買ったコンビニパン)を食べることにしました。早朝の海岸線を走っていると、途中で朝日がとても綺麗に見えて、思わずバイクを止めたくなるほど。ただ、その後は景色こそ素晴らしいものの、本当に何もない。コンビニもない、店もない。ひたすら海岸線を南へ、南へと走ります。 朝7時半ごろ、ようやく室戸岬に到着。当然というか、周りには人っ子一人いません。朝ご飯は前の日、コンビニで買ったパンと缶コーヒー。決して豪華ではないけれど、誰もいない室戸岬で海を眺めながら食べると、これが妙に贅沢に感じます。早朝の静かな海と、どこまでも続く水平線。「ここまで来たか」という最果て感がたまりません。こういうのも、ツーリング旅の醍醐味ですね。 このあとは、室戸スカイラインを上って展望台へ。相棒の隼さんとツーショット。で、恋人の聖地へ。オッサン二人で恋人の聖地へw 展望台からの景色は、まさに絶景。どこまでも青く広がる空と海に、うっそうと茂る緑。朝の静けさも相まって、なんとも言えない気持ちよさです。道ばたにはハイビスカスも咲いていて、南国感もたっぷり。関東ではなかなか味わえない雰囲気です。野良猫さえもなんだか神々しいw 「ここ、ずっと居られるな」と思ってしまいます。ただ、今日の予定はかなり詰め込んであります。ここでのんびりしていると、後の予定が全部ズレてしまう……。名残惜しいですが、室戸岬を後にして次の目的地へ向かいます。室戸スカイラインと海岸線の様子をInsta360で撮影しました。Youtubeで見れば360度グリグリできます。海に向かってダイブするような絶景道路なので是非お好きなアングルでご覧ください。 次に向かったのは、長宗我部氏の本拠地だった岡豊(おこう)城。バイクを走らせ、山道を進んでいくと、いよいよ岡豊城が近づいてきます。そして、ここで一番見たかったのが長宗我部元親の像です。これがまた、めちゃくちゃカッコいい。鋭い目つきで四国を見据えるような姿は、まさに「これから四国を獲るぞ」という迫力があります。実物を見ると、写真で見るより迫力がある。せっかくなので同じポーズを取ってみようかと思いましたが……さすがに無理でした。城跡には当時の建物こそ残っていませんが、曲輪や土塁などの遺構はしっかり残っています。ここを本拠地に、元親は四国統一を目指したんですね。そんなことを思いながら城跡を歩くと、歴史のスケールを改めて感じます。 途中、モンベル高知店によりご当地Tシャツ2枚をゲット。 このあとは、いよいよ高知城へ。ところが、高知城周辺には二輪を停められる場所があまりないらしく、ネットでおすすめされていた「はりまや橋地下駐車場」へ向かいます。バイクを無事に停めたところで、せっかくなので向かったのは、もちろん「はりまや橋」。ここは言わずと知れた「日本三大がっかり観光地」の一つ。実は15年ぶり、2回目です。そして15年ぶりに見た感想は……「やっぱり、これか!」。写真で見るより実物のほうがコンパクトで、周囲の街並みとのギャップもなかなかのもの。ただ、不思議なもので「がっかりする」と分かっていて見に行くと、それはそれで楽しめます。むしろ「どれだけがっかりできるのか」を確認しに行く観光地になっている気もします。15年前と変わらぬ姿に、妙な安心感すら覚えました。 高知城へ向かっていたところ、ちょうどお昼になったので、ひろめ市場で昼食を取ることに。平日だというのに、かなりの大賑わいです。特に目立ったのが白人観光客の多さ。普段の城巡りでは「人がいない!」ということが多いので、久しぶりに観光地らしい光景を見た気がします。ひろめ市場は、いろんな店が集まった巨大なフードコートのような場所。店が多すぎて、何を食べるかメチャメチャ迷います。そんな中、選んだのはテレビでもおなじみの「明神丸」。鰹の一本釣り漁船が出てくる、あのお店です。 注文したのは鰹のたたき定食。タレと塩を選べるのですが、鰹のたたきを塩で食べる機会はあまりないので、今回は塩をチョイスしました。そして、ここでテンションが上がるのが、目の前で始まる藁焼き。藁に火が入った瞬間、ボワッと炎が立ち上がり、かなりの高さまで一気に燃え上がります。目の前で豪快に鰹を炙っていくので、炎の熱まで伝わってくるほど。 本場のタタキは旨い。 pic.twitter.com/KDYlRoLUg3— Hiro (@hiroiroiro) September 24, 2026 あっという間に表面がうっすら黒くなり、香ばしい藁の煙が立ち込めます。これは待っている時間も含めて、ちょっとしたアトラクションですね。そして、いよいよ実食。鰹を一切れ……うまい。鰹のたたきは好きで普段からよく食べますが、やっぱり鮮度が違う。身の食感も良く、鰹の旨味がしっかり感じられます。そして、塩がまたいい。正直、塩を選んで正解でした。鰹そのものの味がしっかり分かるので、これはアリです。もっと食べたいところですが、今日の予定はまだまだあります。後ろ髪を引かれながら、次は高知城へ向かいます。 そして、いよいよ高知城へ。高知城は現存12天守のひとつ。しかも、天守と本丸御殿がセットで現存しているのは、ここだけという非常に貴重な城です。城好きとしては、ここは外せません。まず目に入るのが立派な石垣。天守へ向かって歩いていくと、石垣と門、建物が次々と現れてきて、城跡というより「今も城が生きている」という感じがします。そして、山内一豊の正室・千代の像も発見。大河ドラマなどで知られる人物ですが、実際にこうして像を見ると、歴史上の人物が少し身近に感じられます。現存天守ならではの重厚感を味わいながら、じっくり城内を見て回りました。 天守に上がると、そこからの眺めがまた最高。高知の街並みを一望できるうえ、天守には心地よい風が通り抜けて、外の暑さが嘘のように涼しい。これはなかなか降りたくなくなります。さらに城内には、大河ドラマ「功名が辻」で千代を演じた仲間由紀恵さんが実際に着用した着物も展示されていました。こういう展示があると、歴史だけでなく、ドラマで見た世界ともつながって面白いですね。 この高知城、江戸時代に築かれた城なのに、石垣がきれいに整っていないんです。自然石をほとんど加工せず積み上げた「野面積み」が多く、なんとなく戦国時代の城っぽさがあります。そして、これが高知らしいところ。雨の多い土地柄ということもあり、高知城では石垣の排水にかなり気を使った造りになっています。その代表が、石垣からニョキッと突き出している「石樋(いしどい)」。城内に降った雨水を集めて、石垣に直接水が当たらないよう外へ排水する仕組みです。しかも高知城には、この石樋が16か所も確認されています。写真の矢印の部分が、その石樋。雨の日には、ここから水が勢いよく流れ出るそうです。城というと、敵から守るための仕掛けばかりに目が行きますが、こういう「雨との戦い」の跡を見るのも面白いですね。 高知城を後にして、次に向かうのは今回の旅でもう一つ楽しみにしていた場所、四国カルスト。ここからは、いよいよバイク旅らしい山道です。山に入ると道幅はどんどん狭くなり、右へ左へとカーブが続きます。対向車が来るたびにちょっと緊張しながら、ひたすら上へ。標高が上がるにつれて、さっきまでの暑さが少しずつ和らいでいくのも気持ちいい。「この先に本当にカルストがあるのか?」と思いながら走ること約2時間。そして突然、視界がパッと開けました。山道を抜けた先に広がる、どこまでも続く草原。 バイクを走らせながら見る景色は、写真で見るのとはやっぱり違います。風を受けながら、この広い景色の中を走っていると、それだけでテンションが上がります。さすがに有名なツーリングスポットだけあって、ライダーもたくさん。あちこちにバイクが停まっていて、みんな思い思いに景色を楽しんでいます。そして、とにかく空が近い。周囲を遮るものがないので、青空が頭上いっぱいに広がります。草原の中には牛がのんびり歩き、風力発電の巨大なプロペラ。さらに目を引くのが、カルストの岩。草原からニョキッ、ニョキッと岩が飛び出していて、なんとも不思議な風景です。しかも、よく見ると妙に丸っこくて可愛い。岩なのに、なんだかマスコットみたいです。ただ、カルスト地形そのものの迫力なら、個人的には秋吉台のほうが上かなという印象。それでも、バイクでこの景色の中を走る爽快感は別格です。狭い山道をひたすら上ってきた甲斐がありました。こちらも動画を撮りました。グリグリしてお楽しみください。 本日のお宿は松葉川温泉。四万十の秘湯です。 天然水も四万十。温泉はアルカリでヌルッとする良い温泉でした。 9/25 最後の貴重な晴天 今日は今回の旅で最後の晴天。天気予報を見ると、明日からはずっと雨。これは晴れているうちに走るしかありません。ということで、四万十川を遡上することにしました。四万十川は「日本最後の清流」とも呼ばれるだけあって、とにかく雄大。川沿いを走っていると、青い空と清らかな川、緑の山々が続き、走っているだけで気持ちいい。そして、四万十川といえば「沈下橋」。欄干のない、シンプルな橋が川のあちこちに架かっています。時間があれば、いろんな沈下橋を見つけて全部走ってみたかったところですが、今回は時間の都合でほどほどに。途中、道の駅にも立ち寄り、四万十名物の鮎とすだちを購入。鮎といえば、もちろん「美味しんぼ」の京極さん。四万十生まれの成金で、鮎を食べて泣いて喜んでいた、あの人です。そんなことを思い出しながら鮎を購入。やっぱり四万十まで来たら、鮎は外せませんね。 四万十川を遡上したあとは、今回最初の目的地のひとつ、河後森城(かごもりじょう)へ。まずはスタンプを押して、周囲をざっと見渡します。本当ならもう少しじっくり見たいところですが、今日の予定はまだまだ先が長い。ここは早々に切り上げて、次の宇和島城へ向かいます。宇和島城には、なんと無料の二輪用駐輪場が完備されています。城巡りでは「バイクをどこに停めるか」が地味に悩みのタネなので、これは本当にありがたい。全部の城がこうだったらいいのに……と思ってしまいます。そして宇和島城の入口に到着。「……これ?」写真右が現在の入口です。なかなかインパクトがあります。どうやら「藩老桑折氏武家長屋門」の工事中とのこと。歴史ある城だけに、工事中の姿もなかなか貴重な光景ですね。 次に向かったのは、築城名人として知られる藤堂高虎が築いた宇和島城。ここも現存12天守のひとつです。天守は思っていたよりもこぢんまりとしていて、一般的な「城」というイメージより、立派な櫓といった雰囲気。でも、これがまた味わい深い。天守からの眺めは最高で、宇和島の港を一望できます。……ただし、ここで予想外の洗礼が。港から漂ってくるのか、魚を干したような独特の匂いがかなり強い。景色を眺めながら「いい城だなぁ」と思っていたはずが、気づけば匂いの印象のほうが強烈に残っていました。「宇和島城=魚の匂い」になりそうです。これほど匂いまで含めて記憶に残る城は、今までありませんでした。見た目だけでなく、匂いまで唯一無二。そんな意味でも、かなり印象に残る宇和島城でした。 お次は大洲城。ここは木造で完全復元された、かなり貴重なお城です。当時の文献や古写真などをもとに、伝統的な木造工法で忠実に再現されています。城内に入ると、もちろん中も木造。でも、これまで見てきた現存12天守とは、明らかに雰囲気が違います。現存天守は何百年もの間、風雨にさらされ、何度も修理されながら今まで残ってきたもの。柱や床、梁などにも長い年月が刻まれています。それに対して大洲城は復元されたばかりなので、木材がまだ新しく、表面もきれい。同じ木造でも、ここまで違うのかとちょっと驚きます。「現存12天守も、築城されたばかりの頃はこんなにピカピカだったのかな」なんて考えながら、しばらく城内を眺めていました。そして、この大洲城はなんと天守に宿泊することもできます。城好きなら一度は泊まってみたいところですが……以前、北海道で廃校になった学校の教室に一人で泊まったことがあるんですが、これがメチャクチャ怖かった。夜の校舎って、昼間とは別世界なんですよね。そう考えると、夜の天守もかなり怖そう。昼間は「泊まってみたい!」と思っても、夜になったら「やっぱり帰ります」となりそうですw 城内には、松本零士先生が描いた、大洲城を眺める鉄郎とメーテルの絵もありました。松本先生は太平洋戦争中に大洲へ疎開していたそうで、そんな縁があって描かれたもののようです。こういう「城と漫画」の組み合わせは、ちょっと意外で面白いですね。そして、もう一つ驚いたのが外国人観光客の多さ。特に韓国から来たと思われる人がかなり多くて、「えっ、ここに?」と思ってしまいました。大洲城って、かなりマニアックな部類だと思うんですが、海外にもちゃんと知られているんですね。城巡りをしていると、こういう意外なところで外国人観光客を見かけるのも面白いところです。 大洲城を後にして、次は本日最後の城、松山城へ。その途中、Googleマップで「映えスポット」として紹介されていたJR下灘駅に立ち寄ってみました。海をバックにした無人駅で、なんとも絵になる場所です。せっかくなので、バイクも一緒に写真を撮ろうと駅まで行ってみたのですが……若者がいっぱい。どうやらかなりの人気スポットのようで、とてもじゃないけどバイクを近くまで押して入っていく勇気がありません。結局、少し離れたところから写真を撮って、そそくさと退散。やっぱり有名な観光地は人が多い。特に若者が多い場所は、オッサンにはちょっとハードルが高いです。気を取り直して、松山城へ。松山城はロープウェイやリフトで登る人が多いと思いますが、我々は黒門口登城道から本丸を目指します。ここは江戸時代には本丸へ向かう正規の登城道だったそうで、「せっかくなら昔のルートで登ってみよう」というわけです。(無料w)ところが、これがなかなかキツい。石段が延々と続き、今日一日の疲れもあって、最後の城にしてはかなりの重労働です。「昔の人は毎回これを登っていたのか……」と思いながら、ひたすら本丸を目指します。 松山城を築いた加藤嘉明、通称「よしあきくん」をバックに、松山城をパチリ。こうして並べて見ると、なかなか絵になります。天守はどっしりとした重厚感があって、さすが現存12天守。山の上にそびえる姿も貫禄があります。そして、個人的にちょっと気になったのが天守の土台。一般的な城の石垣は、上に行くほど狭くなる台形状が多いのですが、松山城の天守台はスッと立ち上がるような独特の形。このシュッとした感じが、松山城の天守をより特徴的に見せています。現存天守をいくつも巡ってきましたが、こういう細かい違いを見比べるのも城巡りの面白さですね。 天守の中に入ってみると、これがまるで迷路。狭い階段を上ったり、部屋を抜けたり、次はどこへ出るのか分からない。規模こそ違いますが、姫路城の中を歩いているような感覚です。現存天守を実際に歩いていると、「よくぞここまで残ってくれたな」と感心すると同時に、これを守り続けてきた人たちに感謝したくなります。一つ一つ見ていると本当に見応えがあって、1時間程度では全然足りません。今回の旅では最後の城だったので、時間を気にせずたっぷり見学できて良かった。気がつけば、かなりの時間を城の中で過ごしていました。外に出たあとは、みかんソフトクリームを片手に、もう一度天守を眺めます。山の上から見る松山の街並みと、夕暮れの空。明日からは天気が崩れる予報ですが、この日の夕焼けは見事でした。「明日から雨かぁ……」と思いながら眺める松山城は、ちょっと名残惜しい雰囲気。 そして帰り道。長い石段を下っていると、突然、道の脇に野良猫が。これがまた妙に堂々としていて、なんとも高貴な雰囲気。城下を見守る殿様のようです。ただ、周囲は蚊がものすごい。猫は大丈夫なのかと、ちょっと心配になりました。最後にバイクと石垣を一緒に撮ってみると、その巨大さがよく分かります。一日走って、最後にこれだけの城をじっくり堪能できたのは大満足。松山城は、ぜひまた妻と一緒に訪れたいと思える城でした。 この日の宿は、道後温泉本館から歩いて行けるビジネスホテル。しかもホテルのお風呂も、道後温泉本館と同じ源泉を使っているとのこと。それでいて素泊まり5000円以下という、かなりリーズナブルな宿です。チェックインを済ませ、ご主人と少しお話。温水洋一さんを思わせる雰囲気のご主人で、なんだか親しみやすい。ひと休みしたら、さっそく歩いて道後温泉本館へ向かいます。夜の温泉街を歩いていくと、明かりのともった道後温泉本館が見えてきます。歴史ある建物がライトアップされている姿は、やっぱり絵になります。ただ、さすがは道後温泉。ここもかなりの人出です。そして、やっぱり目立つのは若者。城巡りではほとんど若者を見かけないのに、人気観光地に来ると一気に増える。同じ観光地でも、この違いはなかなか面白いですね。 道後温泉本館のお風呂は、もちろん歴史は感じますが、正直なところ「普通かな」という印象。時間があれば有料の休憩スペースでゆっくりしてみたかったところですが、我々はそれよりも先に、お腹が空いてきました。ということで、道後温泉駅のほうへ歩きながら、夕食を物色します。商店街はかなり賑わっていて、観光客でいっぱい。愛媛名物の「蛇口からポンジュース」や坊っちゃん列車など、いかにも道後らしいものを眺めながら歩きます。そして、最近人気だという鯛めしのお店へ。正直、そこまで期待していなかったのですが、これが食べてみると意外にうまい。鯛の旨味とご飯の組み合わせがよく、箸が進みます。鯛は宇和島産とのこと。「だったら宇和島で食べればよかったな」なんて思いつつ、しっかり完食。お腹も満たされたところで、道後の夜の商店街を後にしました。 9/26 雨よ、降ってくれるな・・・ 朝起きて、まず真っ先に天気を確認。奇跡的に、まだ雨は降っていません。ところが予報を見ると、昼前には雨。しかも、そこそこ強く降るらしい。この日の午後の予定は「能島城上陸潮流クルーズ」。雨の中で船に乗るのは、さすがにちょっと厳しい。ということで、クルーズは翌日に延期してもらうことにしました。予定が一つズレたことで、午後の時間がぽっかり空きました。それなら無理に先を急ぐ必要もないので、湯築城をゆっくり見て回ることに。旅先では、天気に合わせて予定を変えるのも大事。さて、雨が降り出す前に、湯築城をどこまで見られるか。 湯築城の見どころは、まず展望台。松山城まで見ることができます。でも、城好きとして一番テンションが上がったのは、なんといっても「土塁のスライス」です。土塁を実際にぶった切って断面を調査し、その状態を保存して一般公開しています。土塁の中がどうなっているのかを実物で見られる、なかなか珍しい展示。しかも、これが無料。土塁好きにはたまりません。さらに資料館では、ボランティアのおじいちゃんが詳しく説明してくれました。復元された武家屋敷なども見どころが多く、これだけ充実した施設を無料で楽しめるのは本当にありがたい。「ここまでやって無料なの?」と思うほど財布に優しい城です。すっかり湯築城が好きになってしまいました。こうなったら今度、「信長の野望」で河野氏を使ってみるか。 10時過ぎに道後温泉を出発。この時点ではまだ雨は降っておらず、「このまま降らないんじゃないか?」なんて淡い期待をしながら走っていました。ところが、今治城が近づいたところで、いきなり雨が強くなってきました。今治城には二輪の無料駐輪場があったので、これは助かります。ただ、屋根はありません。そこでスポーツスターにハーフカバーをかけて、なんとか雨をしのぐことに。古い車両なので、電装系はできるだけ濡らしたくないんですよね。今治城は、築城名人・藤堂高虎が築いた城。海を利用した堀を持つ「海城」で、当時は海から直接船を城内に入れられるほど、海とのつながりが深い城だったそうです。石垣と広い堀に囲まれた姿は、やはり迫力があります。……とはいえ、今回は雨が強すぎる。城の全景を撮れたのは、まさかの1枚だけ。あとは外を歩くのを諦めて、城内の展示をじっくり見ることにしました。歴史資料だけでなく、魚貝類の標本、鳥類の剥製、鉱石まで展示されていて、思った以上に見応えがあります。雨宿りのつもりが、意外と楽しめました。それでも外に出てみると、雨はまったく弱くなっていない。ここでもう少し雨宿りという選択肢もありましたが、予定していた村上海賊ミュージアムまで、雨の中を強行することにしました。 今治城を後にして、しまなみ海道を通り、村上海賊ミュージアムへ向かいます。本当なら、青空の下で海と島々を眺めながら走りたかった。ところが現実は、大雨。そして空も海も見渡す限りの灰色。「こんな景色を走る予定じゃなかったんだけどな……」と思いながら、ひたすら先へ進みます。せっかくのしまなみ海道なのに、景色を楽しむ余裕はほとんどありません。これはもう、観光というより修行です。それでも、村上海賊ミュージアムに到着。ここには屋根付きの二輪駐輪場があり、これは本当に助かりました。雨に打たれ続けたスポーツスターを屋根の下に入れられるだけで、かなりホッとします。そして、ここで少し村上海賊について勉強します。 村上水軍は、戦国時代に瀬戸内海を拠点として活動した、村上氏一族の海上勢力です。特に有名なのが、能島村上氏・来島村上氏・因島村上氏の「村上三家」。瀬戸内海の複雑な島々や潮流を熟知し、海上交通を支配することで大きな影響力を持っていました。単なる「海賊」というより、海上警護や水先案内、通行料の徴収なども行っており、海の秩序を維持する役割も担っていました。戦国大名からもその航海技術や水軍力を頼られ、毛利氏などと結びついて戦にも参加しています。中でも有名なのが、1585年の「第一次木津川口の戦い」。毛利氏側の村上水軍が織田信長方の水軍と戦ったことで知られています。今回訪れた村上海賊ミュージアムは、その中でも能島村上氏を中心に紹介している施設です。 そして、ミュージアムを出てから妙なことに気づきました。このあたり、とにかく「村上」という名前が多い。ガソリンスタンドの名前も村上、そしてこの日泊まる宿のご主人も村上さん。「やっぱり、このあたりは村上さんが多いんだな」と実感しました。もしかして、みんな村上海賊の末裔だったりして……なんて考えながら走っていました。もちろん、苗字が同じだからといって村上水軍の末裔とは限りません。でも、こういうところで歴史が今の暮らしにつながっているように感じられるのは、城巡りや歴史旅の面白いところですね。 村上海賊ミュージアムを一通り見学したところで、少し早めですが本日の宿へ向かいます。目的地は、隣の伯方島。そして宿に到着してみると、なんと屋根付きのオーシャンビュー・ガレージがあるではありませんか。大雨の中を走ってきただけに、これはありがたい。バイクを濡らさずに済むだけでホッとします。ところで、四国から伯方島へ渡るには橋を2つ通ります。今回、ETCで通行したところ、二輪でも合計900円ほど。「結構高いな……」と思い、地元の人なら割引や島民向けの料金があるのかと思って宿の女将さんに聞いてみました。ところが、島の人も基本的に通常料金とのこと。これはなかなか厳しい。特に、家族が入院したときなど、看病やお見舞いで島外の病院へ通う場合は負担が大きいそうです。観光客として一度通るだけなら「高いな」で済みますが、生活道路として毎日のように利用する人にとっては、また違った重みがありますね。旅先で地元の方から話を聞くと、観光だけでは見えない地域の事情が見えてきます。 海のすぐそばの宿ということで、この日は二食付きにしました。大雨の中を走ってきて、外に出る気にもならない。となれば、今日の楽しみはもう食事しかありません。そして、夕食で出てきたのが……「伯方~の塩!」。そう、あの「伯方の塩」の伯方島です。「これは現地で食べるしかないだろう」と、ちょっとテンションが上がります。まずは刺身。続いて、伯方の塩で食べる天ぷら。どちらも美味しいのですが、個人的に一番刺さったのが、伯方の塩で焼いた鯛の塩焼きです。一口食べて、「うまい!」。鯛の身の旨味に、塩の加減が絶妙。これは箸が止まりません。伯方島で、伯方の塩を使った鯛の塩焼き、すだち添え。なんという贅沢でしょう。今日一日、大雨の中を走り続けた苦行も、この一皿ですべて報われた気がします。しかも、これで1泊2食付き9,900円。この内容なら、かなりお得感があります。そして、もう一つ印象に残ったのが味噌汁。この辺りでは白味噌が使われるんですね。普段あまり白味噌の味噌汁を食べる機会がないので、これも旅先ならではの発見でした。外は相変わらず雨。今日はもうバイクのことは考えない。美味しいご飯を食べて、ビールを飲んで、布団に入ります。明日は晴れてくれ……と願いながら、就寝です。 9/27 やっぱり雨か・・・どうなる潮流クルーズ!? 朝起きると、昨日ほどではないものの、雨はまだしとしと降り続いています。びしょ濡れ靴も「いにしえの方法」で乾かし、履ける状態まで復活させます。これで準備完了。向かうのは、昨日も訪れた村上海賊ミュージアム。ここから潮流クルーズに出発します。 いよいよ乗船時間。すると、なんと雨が上がった!「これは幸先がいいぞ」と、ちょっとテンションが上がります。早速船に乗り込み、能島周辺の潮流を間近で見学。あちこちで渦が巻いていて、なかなかの迫力です。船のエンジンを止めると、その瞬間からグングン流されていく。「海って、こんなに流れてるのか」と実感します。 そして、いよいよ能島へ上陸!雨はポツポツ降っていましたが、レインコートを借りていたので問題なし。ただし、蒸し暑い……。そんな中、一人だけ兜のようなかぶり物をした、やけに気合の入ったおばちゃんがいる。「すごいな、この人」と思っていたら、なんとガイドさんでした。まさかのガイド付き。これで3,000円なら、かなり良心的です。ガイドさんの説明もかなり詳しく、村上海賊がどのようにこの海域を支配していたのか、実際にその場所に立ちながら聞けるので、話がスッと入ってきます。そして驚いたのが能島城。島そのものは決して大きくないのに、三の丸、二の丸、本丸としっかり城郭になっている。ここが瀬戸内海の交通の要所だったことを、実際に歩いてみるとよく分かります。約1時間の上陸クルーズでしたが、かなり濃い内容でした。これで3,000円なら安い!今回はあいにくの天気だったので、次は晴れた日に妻も連れてきたい。瀬戸内海の青い海と能島城を、今度こそゆっくり見てみたいですね。 結局、この日はここでギブアップ。宿に向かいます。昨日から降り続いた雨に加え、今日も雨。さすがに体力も気力も尽きてきました。そして何より困ったのが靴。履いてきたアルパインスターズのシューズは、透湿防水シート「ドライスター」を採用した準防水タイプ。普段の雨なら十分耐えてくれるのですが、さすがに昨日からの雨には勝てませんでした。気づけば中までズブズブです。これはたまらん。そこで、途中の100円ショップに駆け込み、シューズカバーを購入。見た目は……完全にアレですが、とりあえず装着してみます。ところが、これが意外と優秀。その後は靴がほとんど濡れず、かなり快適に過ごせました。見た目は最悪ですが、雨のロングツーリングでは背に腹は代えられません。今回の旅で身をもって学びました。次回のロングツーリングには、ちゃんとしたシューズカバーを持参しよう。 この日の宿はスーパーホテル。愛媛ということで、ラウンジにはなんと無料の「蛇口からポンジュース」がありました。もちろん飲みます。愛媛に来たら、やっぱりこれでしょう。しかもソフトドリンクだけでなく、アルコールやベビースター、柿の種まで無料。雨にやられた一日の最後に、これはありがたい。部屋もキレイだし、やっぱりスーパーホテルは好きなビジネスホテルです。今回は素泊まりなので、夕食は近くの地元居酒屋「よしお」へ。そして店主のおっちゃんが、レシートのイラストそのまんまの雰囲気。話も面白く、すっかり地元トークで盛り上がります。本当はこの日に行く予定だった東平(とうなる)歴史資料館を、雨で諦めたことを話すと、「それは正解だよ」と。道が狭く、そこそこ時間もかかるので、雨の日にバイクで行くのは危ないとのこと。地元の人にそう言われると、「行かなくてよかった」とホッとします。ただ、いの町道瓶ヶ森線・UFOラインも未走破。これはもう、次回の四国遠征で行くしかありません。居酒屋では新居浜名物?のザンギをつまみに、日本酒を一杯。雨続きで大変な一日でしたが、最後は地元の店で飲んで食べて、いい感じに締めることができました。 9/28 現存12天守制覇へ!丸亀城へGo! 今日も朝から雨。しとしととよく降りやがる・・・ さらに追い打ちをかけるように、台風26号までこちらに向かっているとのこと。雨ならまだなんとかなる。でも、台風で帰りのフェリーが欠航したら……帰れなくなってしまいます。そこで、予定を1日繰り上げ、明日の便で帰ることにしました。せっかく四国まで来たんだから、もう少し回りたい気持ちはあります。でも、こういうときは無理をしない。「無理しないほうがいい」と分かるのも、年の功でしょうか。オッサン、無理しません。ということで、今日も完全防水の重装備で出発です。このまま丸亀城に向かうとあっという間に今日の予定が終わってしまうので、急遽、鉄道歴史パーク in SAIJOに行ってみることに。ここなら雨でも平気だし。 0系新幹線や蒸気機関車など、貴重な車両が屋内に展示されています。屋内なので保存状態も良く、なんと客室だけでなく、運転席にも入れる。子供向けかと思いきや、これは大人も十分楽しめます。しかも入館料300円。安い。さらに十河信二記念館も併設されていて、こちらは無料。正直、十河信二という名前は今回初めて知りました。第4代日本国有鉄道総裁を務め、「新幹線の生みの親」とも呼ばれる人物です。調べてみると、その人生もなかなか波乱万丈。「これは朝ドラの題材になるんじゃないか?」と思うくらい、ドラマがあります。実際、NHKの朝ドラ化を求める動きもあるようですが、これは本当にやりそうな気がします。新幹線だけでなく、こんな人物がいたことを知れたのも、今回ここへ来た収穫でした。 強い雨の中、高速をひたすら走り、なんとか丸亀城までやってきました。そして、丸亀城に到着した途端……なんと雨が止んだ!これは奇跡です。雨続きの今回の旅で、ここだけピタッと止んでくれるとは。まるで「よく来たな」と城に迎えてもらったような気分です。丸亀城といえば、なんといっても「石垣の城」。せっかく雨が上がったので、まずは外からじっくり眺めます。高く積み上げられた石垣は圧巻。これを雨の中で見るのはちょっと勘弁だったので、ゆっくり見られて本当に良かった。石垣を眺めながら結構キツい坂を上っていくと、いよいよ天守が見えてきます。これがまた、かなりこぢんまり。宇和島城と同じく、天守というより立派な櫓のような雰囲気です。でも、この小さな天守が現存していることに価値がある。天守からは瀬戸大橋も見えます。本州がすぐそこにあるんだな、と改めて実感しました。そして……ここで、ついに現存12天守を制覇!松本城から始まり、犬山、彦根、姫路、松江、備中松山、丸岡、弘前、宇和島、高知、松山、そして最後が丸亀。一つ一つ訪ねてきた城が頭の中を駆け巡ります。「現存12天守を全部見る」というのは、城好きなら一度はやってみたい目標。実際に一つずつ巡って達成できたと思うと、やっぱり感慨深いものがあります。最後の丸亀城で雨まで止んでくれたのも、なんだか出来すぎた締めくくり。しばらく余韻に浸ったあと、いよいよ最後の現存天守の中へ入ります。 木造の天守内に入ると、まず感じるのが圧倒的な「古さ」。ツルツルに磨かれた床ではなく、長い年月を人に踏まれ続けてきた床には、独特の風合いがあります。柱や梁を眺めていると、「ここを何百年もの間、いろんな人が歩いてきたんだな」と、現存天守ならではの歴史の重みを感じます。そして、天守最上階からの眺めがまた格別。讃岐平野の向こうには瀬戸内海が広がり、あちこちにポコポコと特徴的な山が見えます。この独特の山並みを見ると、「ああ、讃岐に来たんだな」と実感します。一方、天守の中はかなり狭い。丸亀城の天守は現存12天守の中で最も小さいとされていて、内部もかなりコンパクト。大きな松山城などを見たあとだと、「えっ、これで終わり?」と思ってしまうほどです。でも、そこが丸亀城の面白いところ。小さいからこそ構造が分かりやすく、巨大な城とは違った親しみがあります。そして何より、この小さな木造天守が江戸時代から今まで残っている。大きさではなく、「残ってきた時間」こそが丸亀城最大の魅力なのかもしれません。現存12天守の最後に訪れた丸亀城。小さな天守をじっくり眺めながら、「これで全部見たんだな」と、改めて感慨に浸りました。 そして、今回かなりの収穫だったのが「丸亀城石垣崩落復旧整備事業PR館」。西日本豪雨などで大規模に崩落した丸亀城の石垣を、現在まさに復旧している真っ最中です。現場では、崩れた石垣の石を一つ一つ確認しながら、重機を使って元の場所へ戻していく作業が進められていました。その横に並べられた石の数が、とにかくすごい。「これ、全部戻すの?」と思うほどの量です。しかも、完成まであと5年ほどかかるという大事業。(係の人はもっとかかると小声で教えてくれたw)これだけでも気が遠くなりますが、ふと「昔は重機なんてないんだよな」と思う。石を運ぶのも積むのも、基本的には人力。いったい何人の人足が必要だったのか。そして、どれだけの費用と時間がかかったのか。想像するだけでも、とんでもない工事だったんでしょうね。PR館では、そんな石垣復旧工事について詳しく学ぶことができ、係の方にもいろいろ教えていただきました。そして、個人的に一番面白かったのが「石垣つめるくん」。石材と裏栗石を使って、実際に手で石垣を積んでみることができます。「なるほど、こうやって積むのか」と始めてみたら、これが意外と面白い。気がつけば、思わず真剣になっていました。係の方によると、1時間以上ずっと積んでいた子供もいたそうです。とても分かる。石垣って、なぜか人を夢中にさせる魔力があります。これ、商品化したら意外と売れるんじゃないか?と思ってしまいました。しかも、このPR館は無料。丸亀城を訪れるなら、天守だけでなく、ぜひこちらもセットで見てほしい。石垣の見方がちょっと変わると思います。 本日最後の城、高松城に到着。そして、ここでもまた雨が止みました。丸亀城に続いて、まさかの傘無し見学。雨続きの旅だっただけに、これはうれしい誤算です。しかも駐車場からすぐのところにバイクを停められ、櫓のそばで写真をパチリ。まず目に入ったのが、艮櫓(うしとらやぐら)。これは当時のものが残る貴重な櫓で、近くで見るとなかなか立派です。「これが現存櫓か」と、しばし眺めてしまいます。そして桜御門へ。こちらは復元されたものですが、まだ真新しく、とてもきれい。現存する古い建物と、復元された新しい建物が同じ城内にあるのも面白いところです。最後の城も、雨に邪魔されずに見られそう。ここまで来たら、もう少し高松城を楽しんでいきます。 高松城は、日本三大海城の一つ。実際に歩いてみると、「なるほど、これは普通の城とは違う」と納得します。まず驚くのが、城のすぐ横が海という立地。そして、なんと堀の水も海水です。普通のお城なら鯉や鮒が泳いでいるところですが、ここで泳いでいるのはチヌや真鯛。「城の堀に真鯛がいる」というだけで、城好きとしてはテンションが上がります。しかも、この堀は単なる海水を入れっぱなしの堀ではありません。海と堀を直接つなぐ水門があり、満潮になると海水を取り込み、干潮になると堀の水を海へ流す。潮の満ち引きを利用して、堀の水を循環させているわけです。昔の人、よくこんな仕組みを考えたな……と感心します。まさに「海城だからこそできる城づくり」です。そして現在、高松城には天守がありません。残っているのは天守台だけですが、これがまた巨大。天守台の上に立つと、「ここに天守が建っていたら、どんな姿だったんだろう」と想像が膨らみます。海から高松城を見たら、かなり壮大な城だったんでしょうね。さらに面白いのが、琴電の駅からも城が見えること。駅を出ればすぐそこに城があり、現代の街の中に高松城が自然に溶け込んでいます。観光地として保存されているだけではなく、今も街の風景の一部になっている感じがいい。天守がないからこそ、堀や石垣、水門、天守台といった「城の仕組み」をじっくり楽しめる。最後の城に高松城を選んだのは、なかなか良い締めくくりになりました。 高松城を後にして、この日の宿へチェックイン。すると、宿の方が「バイクはこっちに停めていいですよ」と、屋根付きの駐輪場を案内してくれました。雨続きの旅では、屋根があるだけで本当にありがたい。「ありがてぇ……」と思いながら、安心してバイクを預けます。そして、今日のディナーはもちろん讃岐うどん。高松駅前の「めりけんや」まで歩いて向かいます。結構な距離がありますが、途中からずっとアーケードが続いているので、雨でもまったく問題なし。歩いていると、なんとアーケードの中に琴電の踏切が。「こんなところに踏切あるの?」と、思わず二度見してしまいました。さらに進むと、今度はドームのような巨大な空間が出現。これがまた結構なインパクトです。周辺にはルイ・ヴィトンやティファニーなどのブランドショップも並んでいて、「高松って、思っていたより都会だな……」なんて思ったり。城巡りと山道ばかり走ってきた今回の旅。久しぶりに街中を歩くと、それはそれで新鮮です。そんな高松の街を眺めながら、讃岐うどんを目指します。 うどん屋に到着すると、意外にもそれほど混んでおらず、ゆっくり食べることができました。本当はチェーン店ではなく、もっとマニアックな地元のうどん屋に行きたかったんですが、雨なので今回は仕方ありません。とはいえ、ここも人気店。うどんはさすがのコシで、しかも安い。そして量も多い。「これぞ讃岐うどん」という感じで、かなり満足しました。あまりに美味しかったので、なんと1kgのうどんをお土産に購入。家に帰ってからも讃岐うどんを楽しむことにします。食後は高松駅へ。ここは15年ぶり2回目です。そして、前回の北陸ツーリングで路面電車に乗ったのが面白かったので、今回は琴電に乗ってみることにしました。琴電は街中をガンガン走っていくので、これがまた面白い。建物のすぐ横を電車が走っていく感じが、なかなか新鮮です。ただ、今回は一駅だけ。もう少し乗っていたかった……。宿に戻ったあとは温泉へ。温泉で旅の疲れをゆっくり流しながら、「これで四国の旅も終わりか」と少し寂しい気分に。最後の夜をしっかり堪能して、明日の帰路に備えます。 9/29 最終日!フェリーの前に最後の城スタンプへ いよいよ最終日。やっぱり今日も雨です。ここまで来ると、もう笑うしかない。最後くらい快晴になってくれても……と思う反面、最終日だけ晴れたら「なんで今日だけだよ!」と、それはそれで腹が立ちそうなので、まぁ良しとします。11時20分発のフェリーに間に合うよう、余裕を持って出発。ところが、出発前にいきなり最初のやらかしです。昨日、バイクを停めた駐車スペースが少し斜めになっていたので、ギアをローに入れたままにしていました。それをすっかり忘れて、いつものようにセルスイッチをオン!すると、突然バイクがグッと前に動き出した!「うわっ!」と思わず体が反応し、慌てて支えます。危うくそのままバイクを倒すところでした。朝イチから心臓に悪い……。雨の最終日、まさか出発前からこんな洗礼を受けるとは。 四国最後のスタンプは、引田城。ところが、火曜日は讃州井筒屋敷しかなく、オープンは10時。フェリーの時間もあるので、あまりのんびりしていられません。そこで、それまで近くの地元スーパーへ行って、お土産を物色。特に「四国ならでは!」というものが見つからなかったので、今回もお約束のカールを購入します。関東ではなかなか手に入らないので、今回もせっせと「密輸」に励みます。お土産も確保したところで駐輪場に戻り、出発準備。すると、ここでナンシーおじさんに捕まる。バイクを見ながらいろいろ話しかけてくる、あのタイプです。本当ならゆっくり話したいところですが、こちらは讃州井筒屋敷の時間が迫っている。ほどほどのところで切り上げて、さようなら。旅の最後まで、いろいろあります。 無事に最後のスタンプも押せたので、いよいよフェリーへ向けて出発です。……と思ったら、最後の最後でお土産が見つかりました。引田は和三盆が有名らしく、さらに手袋は全国シェア90%以上を誇る日本一の産地だとか。これは買わないわけにはいきません。かわいいワンコの形をした和三盆と、母と義母へのお土産に手袋を購入。 最後にちゃんと「四国らしいお土産」が見つかって良かった。引田には古い町並みも残っていて、ゆっくり歩けばかなり風情がありそうです。本当ならじっくり散策したいところですが……フェリーの時間がある。後ろ髪を引かれつつ、今回は急いで港へ向かいます。 あとは高速に乗って徳島港のフェリー乗り場まで行けばOK。時間も、乗船30分前には余裕で間に合いそうです。「これなら大丈夫だな」と、ちょっと余裕を見せたのがいけなかった。本日2回目のやらかしです。地元スーパーで「密輸」してきたカールを袋に入れ、バイクのボックスの上にゴムのネットで固定していました。ところが、高速道路に乗った瞬間……「落ちた!」どうやら固定が甘かったらしく、カール入りの袋が路上へ。よりによって、最後の最後に�…