ハロウィンの夜、よその家でもらったお菓子に毒や針が入っているかもしれない。アメリカの親たちが半世紀以上おびえてきたこの話を、社会学者のジョエル・ベストが1958年までさかのぼって調べ続けている。ところが、トリック・オア・トリートで手に入れたお菓子のせいで子どもが死亡したり重傷を負ったりした報告は、いまだに1件も見つかっていない。いちばん有名な「ハロウィンの毒入りお菓子事件」の犯人は、被害者の実の父親だった。この話が海外の掲示板で1万1,000以上の支持を集め、「うちの親も病院でお菓子をX線にかけてもらった」という思い出話が次々に出てきた。 ※注:トリック・オア・トリートは、ハロウィンの夜に仮装した子どもたちが近所の家を回り、玄関先でお菓子をもらうアメリカなどの習慣。知らない家の人からも食べ物を受け取るため、親の不安の的になりやすい。 今日の知ってた? 🎃 米デラウェア大学の社会学者ジョエル・ベストは、1958年までさかのぼるデータを持っているが、トリック・オア・トリートで手に入れたお菓子で子どもが死亡・重傷を負った報告はまだ見つかっていない ☠️ 語り継がれてきた1974年のテキサスの事件は、父親が保険金目当てで8歳の息子を毒殺したものだった 📰 ベストが確認した「ハロウィンの毒で死亡」という報道は5件。1件は実の父親の犯行で、残る4件は取り消された 背景:「ハロウィン・サディズム」とは ベストは、ハロウィンに子どもへ毒入りのお菓子を渡す行為を「ハロウィン・サディズム」と呼び、1980年代からこの話を追ってきた。きっかけは、学生や友人との雑談だった。お菓子の危険は現実のものではないと話すと、みんなが本気で怒る。それなら確かめようと、古い新聞を調べ始めた。デラウェア大学の研究誌に寄せた本人の文章によると、最初はニューヨーク・タイムズなど3紙のハロウィン報道を約25年分たどった。調査の対象はその後50年以上に広がったが、結論は変わっていない。2023年に米公共ラジオNPRの取材を受けたベストは、「これは完全に伝説だ」と言い切っている。 恐怖そのものは、有名な事件より古い。ベストが大学院生だった1960年代後半には、お菓子への不安はすでに広く行き渡っていた。アトラス・オブスキュラ誌の記事によると、「ハロウィン・サディズム」という言葉が生まれる前から親たちは怖がっていて、子どもに配るリンゴは、中に刃物や針が隠されているという恐れから、1970年代に定番の座を降りたという。 この不安に事実らしい形を与えたのが、1974年のハロウィンにテキサス州ヒューストン近郊で起きた事件だった。ハリス郡地方裁判所書記官事務所の史料によると、眼鏡士で教会の執事でもあったロナルド・クラーク・オブライアンは10万ドルを超える借金を抱え、ハロウィンの前の数か月のあいだに、2人の子どもそれぞれに3万ドルの生命保険をかけていた。当日の朝には園芸店でシアン化カリウムを買っている。 その夜、オブライアンは自分の子どもと近所の子どもを連れてお菓子をもらいに回った。明かりの消えた家で1人だけ残り、あとで「この家の人にもらった」と言って、ストロー状の容器に粉の入ったお菓子ピクシー・スティックスを見せた。容器の端はいったん開けられ、ホチキスで留められていた。帰宅後、父親に勧められて食べた8歳の息子ティモシーは、吐いてけいれんを起こし、亡くなった。ほかの子どもの分は回収され、誰も口にしなかった。 オブライアンは、毒物の購入と保険の記録から追い詰められた。陪審は1時間足らずで有罪と判断し、1984年3月31日に死刑が執行された。執行の夜、刑務所の外には「トリック・オア・トリート!」と叫ぶ人たちがいたという。ベストによれば、オブライアンは子どもがしょっちゅう毒を盛られていると信じていて、これなら完全犯罪になると考えていた。伝説が本物の殺人に使われたことになる。 もう少し詳しく 「死亡」とされた例は、調べると崩れた。ハロウィンの死を毒のせいとした報道はほかにもある。ベストがNPRに語った例では、ハロウィンに亡くなったロサンゼルスの少女について当初はお菓子の疑いが報じられたが、検視でわかった死因は生まれつきの心臓の病気だった。1970年のデトロイトでは5歳の男の子が大量のヘロインを摂取して亡くなり、お菓子からも薬物が検出された。米メンタル・フロス誌によると、男の子が口にしたのは実際にはおじの隠していたヘロインで、捜査の目をそらそうと家族がお菓子に振りかけていたという。 「何も起きていない」わけではない。ベスト自身も、起きたことが一度もないとは言えない、存在しないことの証明はできないと書いている。見つかっていないのは「死亡や重傷」の報告である。事実検証サイトのスノープスによると、ベストは食べ物に刃物や針が入っていたという報告を1959年以降で約80件追跡した。ほとんどはいたずらで、軽いけがに至ったものが約10件、最悪でも数針縫う程度だった。ベストはNPRに、問い詰めると「冗談でした」と認めることがほとんどだとも話している。例外として、2000年のミネアポリスでは49歳の男が針を仕込んだスニッカーズを配って起訴され、14歳の少年が針に刺された。ただし、治療が必要なけがではなかった。 1982年、恐怖は法律になった。この年の9月末、シカゴ周辺で市販の鎮痛剤タイレノールのカプセルにシアン化物が混ぜられ、7人が亡くなった。ハロウィンとは関係のない事件だが、アトラス・オブスキュラ誌によると不安は全米に飛び火した。ニュージャージー州では、汚染されたお菓子を配った者に6か月の禁錮を義務づける法律に知事が署名し、同州バインランド市の市長はトリック・オア・トリートそのものを禁止した。病院は子どもたちのお菓子をX線で検査すると申し出た。それでも、その年に毒入りお菓子の波は来なかった。 なぜ消えないのか。ベストの説明はこうだ。人々は幽霊や妖怪を信じなくなったが、犯罪者は信じている。だから怖い話の主役が入れ替わった。そして子どもの安全への心配は、思いどおりにならない世の中で何かを管理しようとする試みでもある。2011年の調査では、幼い子を持つ親の24%が毒入りのお菓子を心配していた。一方でNPRの記事は、ハロウィンの本当の危険として、子どもの歩行者の死亡が1年でいちばん多い日だという報道を挙げている。ベストは自分の子どものお菓子を調べたことがないそうだ。彼の言葉を借りれば、都市伝説は吸血鬼より退治しにくい。 日本の毒入り事件は、伝説ではなかった。日本にも似た恐怖の記憶があるが、こちらは実際に起きている。1977年1月の青酸コーラ無差別殺人事件では、公衆電話に置かれた青酸入りのコーラを飲んだ高校生らが東京で亡くなった。同じ年の2月には東京駅の地下街で青酸入りのチョコレートが見つかっている。犯人はわからないまま、1992年に時効を迎えた。1984年のグリコ・森永事件でも店頭から青酸入りの菓子が見つかったが、毒による死者は出ていない。見知らぬ誰かが毒を置くという恐怖は、アメリカのハロウィンでは伝説のままで、日本では現実の事件として記憶されている。 海外の反応 1. 海外の名無しさん うちの大麻入りチョコを子どもに配ると思ってる連中も同じだよ。あれ1枚20ドルもするんだぞ。誰がよその子にやるか。※注:アメリカの一部の州では大麻入りの菓子が合法的に売られている。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 俺が調べて見つかったのは、正規品そっくりのパッケージのせいで女の人がうっかり配っちゃったって話くらいだな。 3. 海外の名無しさん(>>1への返信) レストランの店長をしてた頃、「お前らに一服盛られないよう水を持っていくわ」と冗談を言ったら、ウェイターが呆れ顔で「誰があんたなんかに薬を無駄遣いするんですか」って。 4. 海外の名無しさん 子どもの頃、もらったお菓子を全部テーブルにぶちまけさせられて、親が怪しいのを抜いてたな。記憶にある限り、抜かれたのはおいしいやつだけだった。さすがだよ、父さん母さん。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) 俺は親に見せる前に、リーセスのチョコの半分を隠してた。親に払う税金みたいなものだからな。 6. 海外の名無しさん(>>4への返信) 近所にクッキーを焼いてくれる優しいおばあさんがいて、町内の子はほぼ全員その人に面倒を見てもらってた。なのにハロウィンだけは包装がないからって捨てさせられた。誰が作ったか全員知ってたのに。 7. 海外の名無しさん ついさっきも、子どものお菓子に薬物が混じってないか確認しましょうってニュースを見た。この物価高で、薬物をただで配る人がいると思う? 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) お菓子の袋を無料でX線検査してくれる歯医者があったよ。で、同じ歯医者で歯の治療が必要な人の口のX線はいくらするか。考えると腹が立ってくる。 9. 海外の名無しさん 80年代に一度、お菓子をX線にかけてもらったのを覚えてる。今思うと、あれは変な時代だったな。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) うちも!母が病院の看護師で、80年代は6〜7年続けて行ってた。ちょうど今日、娘にその話をしたところだよ。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 昔からそういう騒ぎは絶えないよね。テーブルトークRPGのD&Dが悪魔崇拝だと騒がれたり、不気味なピエロの目撃談が広まったり。 12. 海外の名無しさん それでも家を回らせるのを怖がる親は本当に多い。うちの街の掲示板にも、車のトランクでお菓子を配るイベントや屋内の「安全な」会場を探す投稿がいくつも出てる。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) トランクで配るほうが安全な理由がわからない。来るのは結局ご近所の同じ人たちだろ。参加者の身元やお菓子を調べてるわけでもないのに。 14. 海外の名無しさん 聞いたかい、子どもたち。親からお菓子をもらうのはやめなさい。知らない人からなら大丈夫だ。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 正直、この件に関してはデータもあなたの味方をしてる気がする。 16. 海外の名無しさん 統計上、子どもにとって一番危険な大人は自分の親だよ。児童虐待で確認された加害者の約77%が親で、親以外の親族が約7%。子どもと関係のわからない相手は8%しかいない。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) 大筋は同意だけど、その数字には注意が必要。児童保護局が扱えるのは親や保護者による虐待などで、教師や聖職者のような他人の加害は警察の担当だから、そもそも統計に入りにくい。研修で説明を受けた話だ。 18. 海外の名無しさん その父親は「ハロウィンを毒殺した男」として知られてる。お菓子に毒が入っていた例はごくわずかで、どれも親の仕業だったはず。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) 70年代にオースティンで育ったけど、病院がお菓子を無料でX線検査してくれてた。あの事件の父親は息子と周りの子に青酸入りの粉菓子を渡して、ほかの子の分は間に合ったけど息子は亡くなった。保険金目当てで、死刑になったよ。 20. 海外の名無しさん 細かいけど分けて考えたい。お菓子で死んだ例と重傷の例は確認なし。でも軽いけがは少なくとも1件ある。2000年のミネアポリスで、男がスニッカーズに針を入れて配って、14歳の子が刺された。2025年にはテキサスのサンタフェのパレードで撒かれたお菓子から縫い針が見つかったって報道もある。 21. 海外の名無しさん(>>20への返信) 言ってることは正しいけど、歴史全体で2件見つけて何が言いたいんだ。「飛行機事故は史上2回、死者ゼロ、軽傷1人。でも飛行機は危険だ!」って言うようなものだよ。飛行機がそこまで安全なら大喜びだ。 22. 海外の名無しさん 今朝のニュースで、合成麻薬の摘発があったから子どものお菓子を確認してって警察が呼びかけてた。何千ドル分もの錠剤をいたずらに使う人なんていないよ。 23. 海外の名無しさん(>>22への返信) そんな錠剤を持ってたら、よその子に配るなんて最後の選択肢だな。全部自分で使う。 24. 海外の名無しさん 石けん作りと自家醸造が趣味だから、薬品の値段はよく知ってる。わざわざ純度の高い毒を買って安いチョコに仕込み、見知らぬ人に無償で配る?ありえない。こういう話は怖いから残るだけで、本当だから残るわけじゃない。 25. 海外の名無しさん 「子どもはしょっちゅう毒を盛られてる」と言い張る人に、調べてみてと言ったら「調べなくても常識だ」と返された。この話が死ぬことはなさそうだ。 まとめ 1958年までさかのぼっても、トリック・オア・トリートのお菓子で子どもが死亡・重傷を負った報告は見つかっていない。有名な事件の犯人は実の父親で、針の話も大半はいたずらだった。コメント欄では「ただで薬物を配るはずがない」と笑う声のほか、親世代のX線検査の思い出が相次いだ。軽いけがの例はあると指摘する人もいて、怖い話がどれほど根強いかを改めて感じさせるやり取りになった。 参考資料 NPR(WUSF掲載)「汚染されたハロウィンのお菓子の都市伝説が消えない理由」(2023年・英語) アトラス・オブスキュラ「ハロウィンの『毒入りお菓子』神話はなぜ続くのか」(2023年・英語) テキサス州ハリス郡地方裁判所書記官事務所「ハロウィン・キャンディ殺人犯の事件」(2021年・英語) ウィキペディア「青酸コーラ無差別殺人事件」(日本語) 元ソース: 今日知った話:1958年までさかのぼるデータを持つ社会学者は、トリック・オア・トリートのお菓子で子どもが死傷した報告をまだ見つけていない。有名なテキサスの事件は父親が息子を毒殺したものだった 投稿 日本の青酸コーラ事件は現実だったのに…「ハロウィンの毒入りお菓子」で死んだ子の報告は、なぜ見つからないのか? は みんな知ってた?【海外の反応】 に最初に表示されました。…