『スーパーマリオブラザーズ3』で、ワールドごとに飛行船で待ち構えていた7人のコクッパたち。海外版ではラリー、モートン、ウェンディ、イギー、ロイ、レミー、ルドウィッグという名前が付いていて、そのほとんどは実在のミュージシャンから取られている。名付けたのは、レコード店で働いていた経歴を持つ任天堂アメリカの社員だった。ところが7人のうちラリーだけは、誰の名前でもない。理由は「ラリーっぽい顔をしていたから」だという。 ※注:日本では現在「クッパ7人衆」と呼ばれる。初登場の頃は「コクッパ」「コクッパ7兄弟」と呼ばれ、日本版では一人ひとりの名前が無かった。 今日の知ってた? 🎸 クッパ7人衆の英語名は、7人中5人がミュージシャン由来。ルドウィッグ=ベートーヴェン、ロイ=ロイ・オービソン、ウェンディ=ウェンディ・O・ウィリアムズ、イギー=イギー・ポップ、レミー=モーターヘッドのレミー。モートンはトーク番組司会者のモートン・ダウニー・ジュニアから。ラリーだけは元になった人がおらず、名付け親いわく「ただラリーっぽく見えた」。 背景:クッパ7人衆とは クッパ7人衆は、1988年10月に日本で発売されたファミコン『スーパーマリオブラザーズ3』で初めて登場した7人組のキャラクターである。マリオ3では、各ワールドの王様から魔法の杖を奪い、王様を動物の姿に変えてしまう。マリオは飛行船に乗り込み、船の奥の部屋で彼らと戦って杖を取り返す。ワールド1の飛行船で待っているのがラリーで、最後のワールド7に控えるのがルドウィッグだ。 日本版での扱いは、海外版とかなり違っていた。ゲーム情報サイトのインサイドが2022年にまとめた記事によると、日本版の説明書では「コクッパ7兄弟」と呼ばれ、あらすじにも、クッパが「自分の子供コクッパ7兄弟を仲間に入れて」と書かれていた。つまり当時の7人は、はっきりクッパの子どもという設定だった。一方で、日本版の説明書には一人ひとりの名前が無かった。見た目で区別はできても、「コクッパ」とまとめて呼ばれる存在だったのである。 個別の名前が付いたのは、1990年2月に北米で発売された英語版のときだ。説明書には「ラリー・クッパ」「モートン・クッパ・ジュニア」「ウェンディ・O・クッパ」「ルドウィッグ・フォン・クッパ」といった名前が並んだ。この英語名はのちに日本の作品でも使われるようになり、今では日本でもラリー、モートン、ウェンディ、イギー、ロイ、レミー、ルドウィッグと、海外とほぼ同じ名前で呼ばれている。日本で生まれたキャラクターが、海外で付いた名前を逆輸入して名乗っている、少し珍しい例と言える。 呼び名も時代とともに変わった。インサイドの記事によると、『スーパーマリオワールド』では「コクッパ7人衆」、2014年の『マリオカート8』からは「クッパ7人衆」と表記されるようになった。「兄弟」が「人衆」に変わったのは、単なる言い換えではない。後で書くように、7人がクッパの子どもではなくなったことと重なっている。 もう少し詳しく 名付け親は、レコード店出身の任天堂アメリカ社員。英語名を考えたのは、当時任天堂アメリカで働いていたデイヴ・ブルックス(Dayvv Brooks)という人物である。米ゲームサイトのコタクが2015年12月に掲載したインタビューによると、彼はもともと任天堂のファンで、ゲームの攻略法を電話で教える「ゲームプレイ・カウンセラー」の募集を新聞で見つけて入社した。その後、研究開発部門のプロダクトアナリストに移り、日本語から訳された読みにくい英文を整える仕事を任されるようになる。当時の任天堂には、今のようなローカライズ専門の部署はまだ無かったという。入社前はタワーレコードで働いていて、DJでもあり、レコードの収集家でもあった。キャラクターの名前がことごとくミュージシャンになったのは、この経歴を考えると納得がいく。彼の案は任天堂の承認が必要だったが、7人分すべてがそのまま採用された。ブルックスは1992年に任天堂を離れている。 7人の名前は、見た目から連想して付けられた。コタクの記事で、ブルックスは一人ずつ由来を説明している。ルドウィッグは、髪型がベートーヴェンを思わせたことから「ルドウィッグ・フォン・クッパ」に。7人の中で、ただ一人のクラシック音楽家である。ロイは、トレードマークの濃い色の眼鏡で知られたロイ・オービソンから。ロイ・クッパもサングラスをかけている。オービソンは『オー・プリティ・ウーマン』を歌った歌手で、日本では映画『プリティ・ウーマン』の主題歌として耳にした人も多いだろう。ウェンディはパンクバンド、プラズマティックスのボーカルだったウェンディ・O・ウィリアムズ、イギーは「パンクのゴッドファーザー」と呼ばれるイギー・ポップから取られた。 レミーの「目」と、モートンの「声の大きさ」。レミーは、ロックバンド、モーターヘッドのレミー・キルミスターから。ブルックスは、このキャラクターの「イカれた目つき」を見て、周りがどうであれ自分の道を行くタイプだと感じ、ビデオゲームのキャラクターにぴったりの名前だと思ったそうだ。コタクのこの記事は、レミー本人ががんで亡くなった翌日に書かれたものである。モートンだけはミュージシャンではなく、1980年代末にアメリカで人気だったトーク番組の司会者モートン・ダウニー・ジュニアが元になっている。ゲストや観客と怒鳴り合う過激な番組で知られた人物で、ブルックスは、このコクッパがいかにも「口の大きいうるさいやつ」に見えたので選んだという。英語版のマリオ3では、名前まで本人に合わせて「モートン・クッパ・ジュニア」とされていた。 ラリーにだけ、元ネタがいない。コタクの取材でブルックスは、ラリーには現実の元になった人物はおらず、U2のドラマーのラリー・マレン・ジュニアでも、トーク番組司会者のラリー・キングでもないと答えている。理由は、ただ「ラリーっぽく見えた」から。ファン向けの事典『スーパーマリオウィキ』によると、ブルックスは2012年にはラリー・マレン・ジュニアが由来だと説明していたとされ、本人の説明が途中で変わっている。ラリー・キング説のほうは、イギリスの任天堂公式誌に載った記述から広まったとされる。いずれにしても、最も新しい本人の説明は「ラリーっぽかった」である。 「クッパの子ども」設定は、のちに取り消された。2002年の『スーパーマリオサンシャイン』で、クッパの息子としてクッパJr.が登場する。7人はしばらく本編から姿を消したあと、2009年の『NewスーパーマリオブラザーズWii』で復帰したが、親子関係はあいまいなままだった。2012年9月、宮本茂が米ゲーム誌ゲーム・インフォーマーの取材で「今の設定では、7人のコクッパはクッパの子どもではない」と答えた。クッパの子どもはクッパJr.だけで、その母親が誰なのかは分からない、とも話している。日本でも、2014年の『マリオカート8』以降は「クッパ7人衆」と呼ばれ、軍団の幹部として扱われている。英語圏の作品では今も7人を兄弟として描くことがあり、海外のファンの間では「日本ではもう兄弟ですらない」という話がちょっとした豆知識になっている。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 最初はクッパの子どもって設定だったんだよな、マリオ3で出てきたときは。それがクッパJr.が出てきて「一人息子はこっちです」ってことになり、7人は軍団の幹部に格下げされた。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 子どもの頃ずっとクッパの子だと思ってた。Jr.だけ跡取りでお気に入りだから、扱いが良いんだろうって勝手に納得してたわ。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) 子どもじゃなくなったのに、扱いの差だけはしっかり残ってるのが笑える。スマブラでも、Jr.の乗り物のほうが7人衆より上等なのは息子びいきだから、みたいな説明があったはず。 4. 海外の名無しさん(>>1への返信) 今はそうでも、当時はそうじゃなかったんだよ。90年代のクッパは、7人の子を男手ひとつで育てるシングルファーザーにしか見えなかった。Jr.なんて影も形もなかったし。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) だよな。で、ピーチ姫をさらってたのは「子どもたちに母親が必要だったから」って解釈になるわけだ。 6. 海外の名無しさん(>>5への返信) 待って、マリオの裏設定って急にこんな重くなるの?子どもの頃の思い出が書き換えられていく。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 重いって言うなら、うちの母さんが大好きな映画『掠奪された七人の花嫁』もなかなかだぞ。7人の兄弟が7人の女性をさらってきて結婚する、明るく楽しいミュージカル。全然笑えない。 8. 海外の名無しさん モートンの由来がモートン・ダウニー・ジュニアって初めて知った。あの怒鳴り合いのトーク番組の司会者か。言われてみれば、たしかにうるさそうな顔してる。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) マリオ3の頃は「モートン・クッパ・ジュニア」って名前だったんだよな。ジュニアってことは、クッパの本名もモートンじゃないと話が合わない。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) そもそも母親が誰なのか分かってないんだろ?ならモートンはクッパの奥さんの名前かもしれない。 11. 海外の名無しさん(>>8への返信) 昔、モートン・ダウニー・ジュニアはロバート・ダウニー・ジュニアの父親だと本気で思ってた。「ダウニー・ジュニア」までが名字の珍しい一家なんだと。 12. 海外の名無しさん(>>8への返信) じゃあラリーはラリー・キングじゃなかったのか。トーク番組の司会者つながりで、絶対そうだと信じてたのに。 13. 海外の名無しさん 子どもの頃からこの話が大好き。どの名前もなんとなく聞き覚えがあるのに、一人だけ「ラリー」。ボケてないこと自体が面白い、っていう笑いを初めて理解したのがこれだった気がする。 14. 海外の名無しさん クッパの子じゃなくなった話は有名だけど、日本だと最近は兄弟ですらなくなってるらしい。7人がただの同僚扱い。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 日本の紹介だと「クッパの子分」って言われてたりするらしいね。親子どころか上司と部下。家族経営の会社が普通の会社になった感じ。 16. 海外の名無しさん スーパーマリオワールドに出てくるトリケラトプスみたいな中ボス、レズナーも、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが由来らしいよ。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) テレサもそう。マリオ3の英語版だと「ブー・ディドリー」って呼ばれてた。ロックンロールの元祖の一人、ボ・ディドリーのもじりだね。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) それ、出どころある?前にも聞いたことはあるけど、子どもが言い合う都市伝説っぽく聞こえるんだよな。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) 説明書に書いてあったよ。坂を滑れて甲羅を持ち運べる初めてのマリオだったから、子どもの頃に説明書を隅から隅まで読んでたんだ。昔の説明書はスキャンがネットにたくさん残ってるから、探せばすぐ出てくる。 20. 海外の名無しさん(>>16への返信) それが本当なら、名付けた人はかなり新しい音楽まで追ってたことになる。ナイン・インチ・ネイルズの1枚目って、口コミでじわじわ広まったアルバムで、出てすぐ大ヒットしたわけじゃなかったはず。 21. 海外の名無しさん ボスの名前がバンドのメンバーといえば、ロックマンX5だよな。ボスがガンズ・アンド・ローゼズのメンバーの名前をもじった名前になってた。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) おまけの豆知識。あの名前を考えた翻訳担当は、バイオハザードでクレアの声を当ててた人らしい。後に出たコレクション版では、本来の訳に近い名前へ戻されたんだとか。 23. 海外の名無しさん(>>21への返信) クロノ・トリガーの英語版にも、オジー、フリー、スラッシュっていう三人組のボスがいる。日本版だとビネガー、マヨネー、ソイソーで、調味料がロックスターに化けてるのが最高。 24. 海外の名無しさん カービィの名前も、任天堂アメリカの弁護士にちなんで付けられたって聞いた。この頃の任天堂アメリカ、身近なところから名前を持ってきすぎじゃない? 25. 海外の名無しさん で、7人の中で一番いいのはレミーってことで、みんな異論はないよな?名前の由来まで含めて最強だと思う。 まとめ マリオ3の7人組に海外で付いた名前は、レコード店出身の任天堂アメリカ社員が見た目から連想したもので、7人中5人がミュージシャン、モートンはトーク番組の司会者、ラリーだけは「ラリーっぽかった」からだった。日本では名前の無い「コクッパ7兄弟」として生まれ、のちに同じ名前を名乗るようになり、今はクッパの子どもではない「クッパ7人衆」になっている。コメント欄では、子ども設定が消えた話のほか、テレサやロックマン、クロノ・トリガーなど「ほかにもある名前の小ネタ」が次々に出てきていた。 参考資料 コタク「マリオのキャラクターがモーターヘッドのレミーにちなんで名付けられたいきさつ」(2015年・英語) インサイド「映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』での活躍は!?かつてはクッパの「子」だったクッパ7人衆」(2022年・日本語) マイ・ニンテンドー・ニュース「任天堂、コクッパはクッパと血縁関係がないと明かす」(2012年・英語) 元ソース: 今日知った話:マリオに何度も出てくる敵役のクッパ7人衆は、全員が有名ミュージシャンにちなんで名付けられている。例外はモートン(トーク番組の司会者)と、ローカライズ担当者いわく「ただラリーっぽい顔だった」ラリーだけ 投稿 「ただラリーっぽく見えた」マリオ3のクッパ7人衆、ほかの6人の名前は実在のミュージシャンや司会者から付いていた は みんな知ってた?【海外の反応】 に最初に表示されました。…