カーリングで選手が氷の上に滑らせる、取っ手の付いた丸い石。オリンピックで使われるこのストーンは、2006年のトリノ大会から、すべてスコットランド沖に浮かぶ無人島の花崗岩だけで作られています。作っているのは、1851年に創業した地元の小さな工房です。日本女子が銅メダルを取った2018年の平昌大会、銀メダルを取った2022年の北京大会で選手たちが投げていたのも、この島の石でした。 今日の知ってた? 🪨 2006年のトリノ大会以降、冬季五輪で使われるカーリングのストーンは、すべてスコットランド沖の無人島アルサ・クレイグ島の花崗岩だけで作られている。 🏭 作っているのは、1851年創業のスコットランドのケイズ社。ストーン用に島の花崗岩を採取する権利を持っているのは、この1社だけ。 💷 値段は1個750ポンド(1ポンド200円で換算すると約15万円)。スレのタイトルにある「1,030ドル」はこれをドルに直した額で、作るのにかかる費用ではなく売り値。 背景:アルサ・クレイグ島とケイズ社 アルサ・クレイグ島は、スコットランド南西部のクライド湾の入り口近く、本土の港町ガーヴァンから西へ約16キロの海に浮かぶ無人島です。高さは約340メートル。海からドーム形に盛り上がった島で、約6000万年前の火山活動でできたとされています。北アイルランドのベルファストからグラスゴーへ向かう船旅のほぼ中間にあるため、その道のりの目印としても知られてきました。 島は16世紀から地元の貴族ケネディ家(のちのエイルサ侯爵家)のもので、2011年には250万ポンドで売りに出されたこともありますが、最終的に一族の人物が買い取り、いまも同家が所有しています。島全体が鳥の保護区になっていて、イギリスの王立鳥類保護協会(RSPB)が管理しています。シロカツオドリの大きな繁殖地で、1991年にネズミが駆除されてからは、ニシツノメドリ(パフィン)も戻ってきました。 ケイズ社は、1851年にウィリアム・ケイと2人の息子が、スコットランド南西部のモークリンの近くで始めたストーン工房です。年に作るストーンは2000個前後で、世界77か国に送られ、いちばんの得意先はカナダです。同社のストーンが初めて五輪で使われたのは、1924年の第1回冬季五輪(フランスのシャモニー)でした。AP通信は、カーリングが正式競技に戻った1998年の長野大会(会場は軽井沢)から、ケイズ社が五輪のストーンを作ってきたと伝えています。2022年の北京大会で使われたストーン132個も、すべてこの島の石でした。 もう少し詳しく なぜ「2006年から」なのか。AP通信によると、2006年のトリノ大会のストーンが、初めて丸ごとアルサ・クレイグ島の石だけで作られたものでした。それまでケイズ社は、本体に使う石の一部を、ウェールズの採石場からも仕入れていたといいます。ストーン用の花崗岩がとれる場所は、世界でもアルサ・クレイグ島とウェールズのトレヴォーの2か所だけとされています。なお、2002年のソルトレークシティー大会では、カナダのメーカーがトレヴォー産の花崗岩で作ったストーンが使われたとする資料もあります。 1個のストーンに2種類の花崗岩。ストーンの本体は、島でとれる「コモン・グリーン」という花崗岩で、ストーン同士がぶつかる側面の帯もこの石です。弾力があって、強くぶつかっても欠けにくいのが特徴です。氷に触れる底の細い輪の部分には、「ブルー・ホーン」という別の花崗岩をはめ込みます。こちらは水をほとんど吸わないので、氷の上で濡れたり凍ったりをくり返しても傷みにくいのです。かつては「レッド・ホーン」という3種類目の石もありましたが、もう採り尽くされています。 石を採りに行くのは、何年かに1度だけ。島は鳥の保護区なので、作業の時期や方法には気をつかい、年に持ち出せる量にも上限があります。本体用のコモン・グリーンは崖から自然に崩れ落ちた岩を選んで拾い、ブルー・ホーンは崖の岩に穴を開け、ガスの力で自然の割れ目に沿って割り取ります。岩は船で本土のガーヴァン港へ運ばれ、別の石材会社で丸く切り出されてから、ケイズ社の工房に届きます。近年の採取は、2002年に1500トン、2013年に2000トン(ストーン約1万個分)。その後、2020年にも採取が行われました。 16個で1セット。工房では1個を仕上げるのに約6時間かけ、重さは1個17〜20キロほど。1試合で両チーム合わせて16個を使うため、16個1セットでも売られていて、その値段は1万2000ポンドです。ストーンは数十年使えるといいます。日本でもスポーツ誌『Number』(2020年)が、日本カーリング協会が4セット(64個)を1セットあたり約120万円で買った例を紹介しています。 海外の反応 1. 海外の名無しさん どこかで読んだけど、材料の石が尽きるまでには、まだ何百年もかかるらしいね。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 何百年分ってほんとか? その話、ちゃんと「かたい」情報なんだろうな。なにしろ相手は花崗岩だぞ。 3. 海外の名無しさん(>>2への返信) もし間違ってたら、それは俺がただの「石頭」だったってことで勘弁してくれ。 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) はいはい、うまいこと言ったつもりだろうけど、もうそれ以上は何も「岩」なくていいから。 ※注:原文は、granite(花崗岩)と take for granted(鵜呑みにする)、igneous(火成岩)と ignorant(無知な)、gneiss(片麻岩。発音は「ナイス」)と nice をかけた岩石ダジャレの応酬でした。 5. 海外の名無しさん(>>1への返信) 島の石がなくなるまで、って意味なら何千年ももつよ。会社の在庫の話なら別。最後に石を採ったのは2013年で2000トン、ストーン1万個分。2002年にも1500トン採ってる。1日5個作るとして、祝日と二日酔いとハズレのハギス(スコットランドの羊の内臓料理)で休む日を引いて、年48週で1200個。2回分の石を合わせて17500個分だから、17500÷1200で14.6年分。補充してないなら、そろそろ心細いはずだ。 ※注:本文のとおり、2013年のあと、2020年にも石の採取が行われています。 6. 海外の名無しさん 採った分は、ちゃんと新しい花崗岩を植えておいてほしいな。未来のカーリング選手たちのために。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 植えても生えてこないんだよなあ。なにしろ6000万年前の火山活動でできた島だから、次の収穫まではだいぶ待つことになる。 8. 海外の名無しさん 1851年から続いてて、五輪の石まで一手に引き受けてるってことは、何世紀もずっと、しかるべきところに袖の下を渡してきたんだろうな。 9. 海外の名無しさん(>>8への返信) 袖の下っていうか、しかるべきところの氷を、何世紀もせっせとスイープしてきたんだよ。 10. 海外の名無しさん メジャーリーグで使う泥も似たような話だよ。とれる場所がものすごく限られてて、厳しく管理されてる。ヨーロッパで公式戦をやったときも、わざわざ泥を飛行機で運んでたくらいだ。 11. 海外の名無しさん(>>10への返信) 補足すると、内野のグラウンドの土の話じゃなくて、新品のボールの滑り止めにすり込む泥のことね。1シリーズでせいぜいバケツ数杯分。それをもう100年近く、同じ業者が、ニュージャージー州側のデラウェア川の岸の決まった場所から採ってる。 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) ウィキペディアによると、その泥の市場は小さすぎて、ブラックバーンっていうブランドの売り上げじゃ、社員1人分のフルタイムの給料も出ないらしい。誰もが使ってるのに、ほとんど儲かってないってのが不思議だよな。 13. 海外の名無しさん 一度作ったら何十年ももつ石に、そんなに需要があるのか? カーリングって、2世紀近くも会社を食べさせていけるほど大きな競技には思えないんだけど。 14. 海外の名無しさん(>>13への返信) 年に2000個くらい。ウィキペディアには「工房には職人が6人いて、1日に5個のストーンを作る。2025年時点で年に1800〜2000個を製造し、最大の市場はカナダ」って書いてある。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 1個750ポンドで年2000個なら、売り上げは年150万ポンドくらいか。石を切ってるだけにしては、なかなか悪くない商売だな。 16. 海外の名無しさん(>>13への返信) 1セットで16個いるし、たいていの施設にはシート(試合をする細長いコート)が4面以上ある。それだけで64個だよ。それに、カーリングって妙にハマるのに、誰でも気軽に始められる競技なんだ。 17. 海外の名無しさん(>>16への返信) ただ、買い替えの注文はあまりないんだよね。きちんと手入れすれば50年以上もつから、一度そろえたクラブは半世紀は買い替えない。ちなみにYouTubeで、クレオ・エイブラムの「物理学者を悩ませる五輪競技」って動画を見ると、ストーンの話から抜け出せなくなるよ。 18. 海外の名無しさん(>>13への返信) 意外と傷むんだよ。とくに底にほんの小さな欠けができるだけで、そのストーンは使いものにならなくなる。地元のクラブで、試合前に誰も気づいてなかった欠けのせいで、ストーンが途中でいきなり右に曲がって、隣の2面のシートを横切っていったことがある。油断してたスイーパーの足首をあやうくすくうところだった。 19. 海外の名無しさん ストーンの石がとれるのは、スコットランドのアルサ・クレイグとウェールズのトレヴォーの2か所。作ってる会社も2社で、スコットランドのケイズとカナダのカナダ・カーリング・ストーン。スレタイのとおり、五輪と世界カーリング連盟の大会用はケイズで、カナダ・カーリング・ストーンは一般のクラブ向けや、子ども用のジュニアストーンを作ってる。 20. 海外の名無しさん ちなみに、アルサ・クレイグの花崗岩は、岩石を分析するときの基準にする標準試料にも使われてる。それくらい成分がムラなく均一なんだって。 21. 海外の名無しさん 島は保護されてて、持ち出していい石の量も決まってる。このペースを守れば何世紀ももつって計算らしい。ストーンを作るときは取っ手を付けるために真ん中を円盤みたいにくり抜くんだけど、くり抜いた石はお土産として売られてる。島自体は自然保護区で、海鳥の大きな繁殖地なんだ。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) スコットランドのおじさんを訪ねたとき、一緒にストーンを作ってる工房を見学したよ。びっくりするくらい小さな作業場だった。お土産に、その花崗岩で作ったコースターとミニサイズのストーンをもらった。 23. 海外の名無しさん 島の写真を見たら、島そのものが巨大なカーリングのストーンみたいな形をしてて笑った。海にどーんと置かれた特大のストーンだ。 24. 海外の名無しさん(>>23への返信) あんまり石を切り出して軽くしすぎると、島ごとぷかぷか浮いて流されていきそうだな。 25. 海外の名無しさん スレタイには「製造に1,030ドルかかる」ってあるけど、それは作るのにかかる費用じゃなくて、買うときの値段な。1個1,030ドルで売ってるってこと。 まとめ 冬季五輪のカーリングのストーンは、2006年以降すべて、スコットランド沖のアルサ・クレイグ島の花崗岩から、1851年創業のケイズ社が作っています。コメント欄では「そんなに売れるのか」という疑問に、1セット16個、手入れすれば50年もつ、底の小さな欠けで使えなくなる、といった経験者の声が集まりました。メジャーリーグの泥の話や、岩石ダジャレの応酬への脱線もにぎやかでした。 元ソース: 2006年以降、冬季五輪で使われるカーリングのストーンはすべて、スコットランド沖の1つの島でとれた花崗岩から作られていて、製造費は1個1,030ドル。作っている地元の会社は1851年から続いている The post 「北京五輪で使われたストーン132個は、すべてこの島の石」日本女子が銀メダルを取ったカーリングの石は、スコットランド沖の無人島から来ていた appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…