
1: 少考さん ★ 4mD2h/AF9 2026-10-14 16:11:37 ※NEWSポストセブン 2026.10.13 16:00 (前略) 【エッセイの公開にあたって】 現在、サウジアラビアのリヤド周辺で攻撃が相次いでいるとの報道に接し、心を痛めています。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。 今回のエッセイは、私が半年以上前にサウジアラビアを訪れた際の体験を綴ったものです。執筆も先月には終えており、公開日も決まっていたことから、予定通り掲載することにしました。 現地で出会った人々の温かさや、サウジアラビアで感じた美しさを大切に思うからこそ、一日も早く平穏な日々が戻ることを心から願っています。 (中略) 「おもてなし」の文化 アルウラには古代都市の遺跡がたくさん存在する。中でも有名なのは、サウジアラビアで初の世界遺産に認定されたヘグラ遺跡だ。ヘグラ遺跡には、紀元前1世紀頃にナバテア人が作った保存状態の良い110基以上のお墓が点在している。そのうちの一つ、カスル・アル・ファリドは、高さ22mもある砂岩のお墓。砂岩の崖を直接彫って作られていて、ファサードが美しく、その壮大さにも驚いた。 他にも驚くことは山ほどあった。エレファントロックという観光名所で夕日を見た。砂漠の中にある象の形をした高さ52mの巨大な一枚岩の奇岩で、周りには円形のソファー席が掘って作られている。スタイリッシュで、オシャレすぎる空間! 驚きなのは、ここが入場無料なこと。 太陽が傾くにつれて、エレファントロックは橙色に染まり、砂漠の真ん中でのまどろみタイム。何百万年もの歳月をかけて自然が創り出した景色を、ソファーに座ってただ眺める。だんだんと周囲が暗くなり、焚き火の光も相まって、現実と夢の境目が曖昧な、幻のような時間だった。 驚いたのは景色だけではない。ここで特筆しておきたいのは、サウジアラビアのおもてなし文化だ。エレファントロックをソファーに座って眺めていると、近くに座っていたサウジアラビア人から声をかけられた。大人と子ども合わせて10人くらいの団体さんたちで、「コーヒー飲む?」と聞いてきた。 私はてっきり、海外旅行でよくある後から代金を要求されるパターンなのではないかと思い、身構えていると、「プレゼントだから、お金はいらないよ!遠慮しないで」と紙コップに入ったサウジコーヒーを渡された。 それから、どこから来たのか、どうやってきたのか、他にどこへ行くのかなどの会話をした。ただ、こちらの景色を楽しみたいという思いを汲んでくれたのか、深く介入してくる感じではなく、軽くお話しする程度で、スマートな印象を受けた。 その後も、夕日が沈んでいく景色をゆったり眺めていると、デーツのクッキーやチョコレートなど、どんどんお菓子をくれた。私がコーヒーを飲み干すと、すかさず大きなポットからコーヒーを注いでくれる。 まだコーヒーを飲み終わっていないのに、次はどこからともなく別の大きなポットがやってきて、チャイティーを渡される…飲み物もお菓子も、わんこそば状態。「な、な、なんで??」ともらった大量のお菓子と飲み物で両手が塞がりながら不思議に思っていると、「サウジアラビアを好きになってほしいから!」とまっすぐな目で言われた。 会話を続けていると、その方いわく、厳格なイスラム教の国であるサウジアラビアでは、見返りを求めず他者への寛大さを善行とする価値観があり、客人を歓迎し食べ物や飲み物を惜しまずおもてなしすることが文化なのだそう。ここ以外でも、同じようなおもてなしを受ける場面はこの旅で何度もあった。 エレファントロックで、サウジアラビアの人と交流し、受けたおもてなしは、遠い異国から来た私を迎え入れてくれた印のように思えた。それにしても、サウジコーヒーとチャイの大きなポットに、まるでサンタクロースの袋のようにお菓子がたくさん入ったバッグ、そして業者並みの数の紙コップを持ち歩く様子にはびっくりした。「誰かに何かを渡すこと」が、こんなにも自然に日常の中にあることが、とても美しく感じた。 私は、見たことのない景色を見てみたくて、サウジアラビアまでやってきた。実際に想像を超える美しい光景を目の当たりにして、心が湧き立った。しかし、この旅で私が好きになったのは、景色だけではなかった。私がサウジアラビアを「世界で一番好きな国」と言うのには、まだ大きな理由がある。それはまた、次回のサウジアラビア冒険記で。 ※全文はソースで…