2〜3秒の映像を撮るのに、6〜8時間。アメリカ・アイオワ州の兄弟、モーガン・マクグルーさんとメイソン・マクグルーさんは、そんな作業をおよそ8年続けて、映画『トイ・ストーリー3』を最初から最後まで作り直しました。本物のおもちゃを少し動かしては1枚撮る「コマ撮り」を重ねた、約1時間40分の作品です。2020年1月にYouTubeで公開されました。この話が海外掲示板で紹介されると、根気への驚きと並んで、「なぜディズニーに消されなかったのか」という話でも盛り上がりました。 ※注:コマ撮り(ストップモーション)は、人形や物を少しずつ動かしては1コマずつ写真に撮り、それをつなげて動いているように見せる手法です。1秒ぶんの映像にも、何枚もの写真が要ります。兄弟の場合、20秒の場面に写真をおよそ500枚使ったことがあるそうです。 ※注:元スレッドのタイトルは「ディズニーの許可を得て公開された」という紹介です。当時の報道で確かめられる経緯は、最初にアップロードしたときに著作権の申し立てで止められ、兄弟が異議を出したあとで申し立てが取り下げられた、というものでした。どういう形の許可だったのかを詳しく伝える報道は見当たらないため、この記事では確認できた経緯のとおりに紹介します。 今日の知ってた? 🎬 アメリカ・アイオワ州の兄弟、モーガン・マクグルーさんとメイソン・マクグルーさんが、映画『トイ・ストーリー3』の全編を、本物のおもちゃのコマ撮りと実写で作り直した。 ⏳ かかった年月はおよそ8年。始めたのは2人が10代のころで、公開時は兄のモーガンさんが23歳、弟のメイソンさんが21歳だった。 📱 撮影は主にiPhone。音声は元の映画のものを使い、映像を1カットずつ再現した。2〜3秒の映像に6〜8時間かかることもよくあった。 🎞️ 完成した作品『Toy Story 3 In Real Life』(現実世界のトイ・ストーリー3)は約1時間40分。2020年1月25日にYouTubeで公開された。 ⚖️ 最初のアップロードは著作権の申し立てで止められた。兄弟が「収益が目的ではなく、作品への賛辞だ」と異議を出し、申し立ては取り下げられた。 背景:『トイ・ストーリー3』と、兄弟の「現実世界版」とは 『トイ・ストーリー3』は、ピクサーが制作して2010年に公開されたCGアニメ映画です。日本でも同じ年の夏に公開されました。持ち主の少年アンディが大学へ進む年齢になり、カウボーイ人形のウッディやスペースレンジャーのバズ・ライトイヤーをはじめとするおもちゃたちが、持ち主との別れに向き合う物語です。 マクグルー兄弟の家があるのは、アイオワ州の州都デモインに近いアンケニーという町です。2人がこの映画を観たのは、アメリカでの公開初日の2010年6月18日でした。たちまちいちばん好きな映画になり、子どものころから持っていたおもちゃに加えて、映画に出てくるおもちゃを集めはじめます。 最初から長編を作るつもりだったわけではありません。手持ちのおもちゃで好きな場面を再現できないか試すところから始まり、短い映像を撮りためるうちに、全編を作ろうと決めたそうです。モーガンさんは米ABCの番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、「雪だるま式でした」と振り返っています。 始めた時期と年齢は、資料によって少しずつ違います。多くの報道は「8年前、15歳と12歳のとき」と伝えています。一方、モーガンさん自身はプロジェクトの紹介文に、映画を観てから約2年後、16歳のころに実写版の計画が動きだしたと書いていました。2人とも10代だったことは、どの資料にも共通しています。 できあがった作品は、元の映画と同じカット割り、同じ構図で、1カットずつ撮り直したものです。音声は元の映画のものをそのまま使い、映像だけを現実のおもちゃと人間に置き換えました。人間の登場人物は、身近な人たちが演じています。アンディ役はモーガンさん本人、アンディの母親役はいとこ、少女ボニー役はメイソンさんの友人でした。 もう少し詳しく なぜ8年もかかったのか。コマ撮りは、撮影そのものにとにかく時間がかかります。モーガンさんは同じ番組に、2〜3秒の映像を撮るのに6〜8時間かかることがよくあった、と話しています。モーガンさんの母校、ブエナビスタ大学(アイオワ州)の学生新聞には、20秒の場面に5〜6時間をかけ、写真をおよそ500枚使った例を挙げました。完成した作品は約1時間40分あります。人間が出てくる場面は実写ですが、それを除いても気の遠くなる分量です。 しかも2人は、この作業にかかりきりだったわけではありません。学校や仕事があり、進められるのは主に週末や長い休みでした。モーガンさんは「ずっと続けていたわけではないんです」とも話しています。やめたくなったこともあったそうで、メイソンさんは学生新聞に「もう半分まで来ているんだから、やるしかないと自分に言い聞かせていた」と語りました。 道具と工夫。初めのころは安いデジタルカメラを使い、おもちゃに糸を付けて、人形劇のように動かすことが多かったそうです。やがてコマ撮りが中心になり、カメラもiPhoneに替わりました。iPhoneのコマ撮り用アプリで撮影し、パソコンの編集ソフトでつなげています。元の映画を1コマずつ送りながら、自分たちの映像の動きを合わせていったといいます。 おもちゃは市販品なので、アニメのようには表情が動きません。そこで2人は、体の動きを大きくして感情を表しました。いつも笑顔のカウガール人形ジェシーには、怒る場面のために粘土で口を作って付けています。顔のパーツを付け替えられる、日本のメディコム・トイ製のウッディ人形(約400ドル)も使ったと、学生新聞の取材に話しています。バービーの相手役の人形ケンが次々に服を着替えて見せる場面のために、劇中の衣装もすべて探し出しました。 セット作りには、エンジニアの父マイクさんが協力しました。メイソンさんの部屋は、壁紙から小物まで、アンディの部屋そっくりに作り替えられています。場面の舞台は、できるだけ元の映画に近い実際の場所を探して撮りました。保育園の場面がそうです。ごみ収集車は知人のつてで本物を借りて、1日で撮影しました。用意できない場所は、実物の写真を組み合わせて画面を作ったそうです。 「ディズニーの許可」の中身。兄弟は2019年のうちに撮影を切り上げ、同じ年の秋には、ブエナビスタ大学で上映会を開きました。ところが、YouTubeに最初にアップロードしたとき、映像は見られない状態になります。カナダの公共放送CBCのラジオ番組は、ディズニーによって著作権侵害として止められた、と伝えています。 モーガンさんは「予想していました。著作権のある素材をたくさん使っていますから」と話しています。2人は、収益を得るつもりはないこと、作品への賛辞であり創作物であることを書いて、異議を申し立てました。米メディア「インサイダー」によると、約1か月後、ディズニーは申し立てを取り下げています。アイオワ州の高校新聞が引用している告知文によると、兄弟は公開にあたって、「ディズニーからOKが出たので、作品を観てもらえるようになりました」とファンに知らせました。 多くの報道が「ディズニーの許可を得て」と書いているのは、この経緯を指しているとみられます。ディズニーがどう判断して申し立てを取り下げたのか、会社としての説明は報じられていません。YouTubeの説明欄には、ファンが作った再現作品であること、『トイ・ストーリー3』の権利はディズニーにあること、そして元の映画を観られるサービスの案内が書かれています。 公開後の反響。作品は2020年1月25日に公開されました。当時の報道によると、再生回数は2週間あまりで約250万回に達し、同じ年の終わりごろの報道では1,100万回を超えていました。2026年10月の時点で、YouTubeの表示は4,700万回を超えています。 『トイ・ストーリー3』を監督したリー・アンクリッチ氏からも、兄弟に連絡がありました。インサイダーによると、アンクリッチ氏はこの作品について、「見事なのか、どうかしているのか分からない」と伝えたそうです。大学での上映会では、ピクサーのアニメーターがネット掲示板に称賛のコメントを書き込んでくれたことも、モーガンさんの口から明かされました。 兄弟のその後。2020年初めの報道では、モーガンさんは大学でデジタルメディアとビジネスを学んで卒業したところで、メイソンさんも同じ分野の学位で卒業を控えていました。同じ年の終わりごろの報道によると、メイソンさんはマーケティング会社で映像制作を担当し、モーガンさんはフリーランスで映像制作の仕事をしています。メイソンさんはインサイダーにこう話しました。「夢や思い描いたものがあるなら、実現できます。8年か10年かかるかもしれない。でも、できるんです」。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 個人的にいちばん好きなのは、『トイ・ストーリー2』のコマ撮り版が存在しない理由だな。空港の滑走路に入り込んで撮るわけにいかないから、らしい。そこだけ急に現実の壁が出てくる。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) 滑走路ごときで諦めるとは、ものづくりへの覚悟が足りないな。 3. 海外の名無しさん(>>1への返信) 小さな飛行場なら、頼めば普通に許可が出たんじゃないかな。兄弟はアイオワの人だろ。あのあたりの田舎には、人口数千人の町にも町営の小さな飛行場があるんだよ。職員が常駐していなくて、飛行機が来るのは1日に数機というところも多い。ただ、そういう飛行場は滑走路に線すら引いていなかったりするから、映像にしたら「ただの道」に見えるかもしれないけど。 ※注:『トイ・ストーリー2』には、空港が舞台になる場面があります。コマ撮り版が無い理由についてのこの話は、コメント欄の冗談まじりのやり取りで、兄弟本人が語ったものとしては確認できていません。 4. 海外の名無しさん まだ観ていないんだけど、全編を再現したってことは、あのごみ処理場の場面も撮ったってこと? まさか本物の施設の中に入ったのか。 5. 海外の名無しさん(>>4への返信) 本人たちのインタビューを読んだら、ごみ収集車は知り合いのつてで本物を借りて、1日で撮ったそうだよ。用意できない場所は、実物の写真を合成して作ったらしい。小道具も本気で、顔を付け替えられる日本製のウッディ人形まで揃えている。 6. 海外の名無しさん 内容より先に、ディズニーがこれを消さなかったことに驚いた。権利にはとにかく厳しい会社、という印象しかなかったから。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 宣伝として最高だからだと思う。自社のおもちゃの広告を、1時間40分ぶんタダで流してもらっているようなものだし。 8. 海外の名無しさん(>>6への返信) 最初からすんなり通ったわけじゃないらしいよ。アップした当初は著作権の申し立てで止められて、兄弟が「お金が目的じゃない、作品への賛辞だ」と異議を出したら、1か月ほどで取り下げられたと記事で読んだ。 9. 海外の名無しさん これが任天堂のキャラクターだったら、翌朝には弁護士の一団が玄関の前に並んでいたと思う。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) 任天堂も、お金が動いていなければわりと見逃してくれると聞くけどね。止められるのは、収益化しているものや、自社で売っているゲームとぶつかるものが多いらしい。 11. 海外の名無しさん 「盗作だ」と言っている人がいるけど、それは違うと思う。盗作というのは、他人のものを自分が作ったと偽ること。これは元の作品を明かしたうえで、別の手法で作り直している。音楽でいうカバーに近いよ。 12. 海外の名無しさん 似た話だと、アメリカの高校生が映画『エイリアン』を舞台劇にしたとき、リドリー・スコット監督の側が怒るどころか、再演の費用を出してくれたことがあったよね。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) それとよく混同されるのが『ライオン・キング』の件だね。小学校のPTAが上映会を開いたら250ドルの使用料を請求されて、ディズニーのトップが謝罪して寄付を申し出た、という話。 ※注:『エイリアン』の舞台は2019年、米ニュージャージー州の高校での出来事です。監督の制作会社が、再演のために5,000ドルを提供したと報じられました。『ライオン・キング』の件は、カリフォルニア州の小学校のPTAが開いた上映会をめぐるものです。2020年2月、当時ディズニーの最高経営責任者(CEO)だったボブ・アイガー氏がSNSで謝罪し、個人として寄付すると表明しました。 14. 海外の名無しさん 『1』のほうを本物のおもちゃで作り直した、別の人たちの作品もあったよね。あっちはコマ撮りというより人形劇に近くて、おもちゃを動かす手がときどき映り込んでいた。何年も公開されていて、2回は観たな。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) あれを作った人たちは、完成したDVDを持ってピクサーまで行って、社員に配ったと聞いたよ。行動力がすごい。 16. 海外の名無しさん(>>14への返信) そっちも好きだけど、『3』は出来が段違いだよ。迷っているなら、まず『3』から観てほしい。 ※注:2013年にYouTubeで公開された『Live Action Toy Story』のことで、作ったのはマクグルー兄弟とは別の2人組です。制作者は当時のインタビューで、ピクサーの社屋の外で社員にDVDを配ったこと、公開について正式な返事はもらっていないことを話しています。 17. 海外の名無しさん 「本物のおもちゃで作ったトイ・ストーリー」と聞いて、念のため言っておく。おもちゃは今も生きてはいない。そこははっきりさせておくべきだと思う。 18. 海外の名無しさん(>>17への返信) 一瞬、作った兄弟がもう生きていないという話かと思って焦った。おもちゃのほうか、よかった。 19. 海外の名無しさん 8年? あの映画、そんなに前だったっけ……と思って調べたら、2010年公開だった。嘘だろ。 20. 海外の名無しさん 最近の実写リメイクにはあまり乗れないんだけど、この「実写化」だけは文句なしに認める。コマ撮りは本当に手間のかかる手法だし、やり遂げた根気がすごい。 21. 海外の名無しさん 2〜3秒の映像に6〜8時間かかると聞いて、気が遠くなった。自分なら8年どころか8日も続かない。たぶん最初の場面でウッディを棚に戻して終わり。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) 子どものころ、ブロックの人形でコマ撮りに挑戦したことがある。30分かけて撮ったのに、再生したら2秒で終わった。その日のうちに監督を引退したよ。 23. 海外の名無しさん 就職のときの実績としては最強じゃないかな。「8年がかりで長編を1本完成させました」と言える20代は、なかなかいない。実際、2人ともその後は映像制作の仕事に就いたそうだよ。 24. 海外の名無しさん インターネットは昔こういう場所だったし、今でもそうあれるはずなんだ。YouTubeを開けば、人が手で作ったものばかりが並んでいた頃が、もう懐かしい。 25. 海外の名無しさん(>>24への返信) こういう作品は今も作られているよ。AIの量産動画や再生数稼ぎの投稿に埋もれて、見つけにくくなっているだけで。 まとめ アイオワ州の兄弟が10代で始め、およそ8年かけて『トイ・ストーリー3』の全編をコマ撮りと実写で作り直した話でした。一度は著作権の申し立てで止められましたが、収益が目的ではない賛辞だという異議のあとで取り下げられ、作品はいまもYouTubeで公開されています。コメント欄では、根気への驚きと並んで、権利を持つ会社とファンの作品との距離感をめぐる話が続きました。2〜3秒に何時間もかける作業を、8年。最後まで作りきったこと自体が、いちばんの見どころかもしれません。 元ソース: 2人の兄弟が8年かけて、『トイ・ストーリー3』の全編をコマ撮りで再現した。作品は2020年、ディズニーの許可を得てYouTubeで公開された The post 「2〜3秒の映像に6〜8時間」兄弟が8年かけて『トイ・ストーリー3』を全編コマ撮りで作り直し、YouTubeで公開するまでの話とは? appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…