全てのレス元スレ 1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/09/28(土) 01:39:04.07 :y2kfcPur0 -プロローグ- 魔が差したのだ。 そんな言い方をするのは卑怯だと理解しているし、照に悪いとも思う。だとしても、この状況を一言で説明するとしたらこの言葉が適任になってしまう。 いま、ここの寮の一室には私と照しかいない。鍵は掛けられカーテンも閉ざされている。つまり今後他者の介入はない、ということだ。これまでにも二人きりになることは多々あった。しかし、今までは照に手を出そうだなんて頭の隅に過ることさえなかった。 照の身体を汗が滴る。照の頬が紅潮しているのがわかる。ああ、自分の心音がドクンドクンと煩い。外に漏れ出ていないといいのだが。 私は照に信用されて、少し自惚れるなら信頼されていると思う。だからこそ今日ここにいる。そう自負していた。けれどそれも今日までかもしれない。動揺か緊張か、上手く回らない頭でそんなことを考える。いや、今さらそんなことを考えるのも不毛だな。 思考を切り換えて照の白い体躯に触れんとすると、 「ん……っ」 と声を漏らして照が目を瞑る。 もう後戻りは出来ない。私は宮永照という女性に、その女性というものを形容するような根幹に手を出した。超えるのを憚るべき一線を超え、禁断の果実に手を出したのだ。誰に言い訳するでもなく、自分に言い聞かせるように反芻する。 ああそうだ。単にこれは、魔が差したのだ。 こんなことになっている訳を一からふり返るなら、それは一昨日のことになる。…