1846年、大英博物館で「中身はとうに死んでいる」と思われ、台紙へ糊で貼りつけられたエジプトのカタツムリ。ところが4年後、その殻の中でカタツムリがまだ生きていたことが分かります。ぬるま湯に浸けられて目を覚ましたあとは、ガラス瓶の中でキャベツを食べて暮らしました。海外の掲示板では「接着剤のほうがキャベツより体にいいのでは」とツッコミが入る一方、なぜ生きていると気づけたのかにも関心が集まっていました。 今日の知ってた? 🐌 1846年3月25日、大英博物館は寄贈されたエジプトの「砂漠のカタツムリ」の殻2個を、台紙に糊で貼りつけて標本棚に収めた。中身はとうに死んでいると思われていた。 🔍 4年後の1850年3月、片方の殻の口にできたばかりの薄い膜が張っているのが見つかる。2個とも台紙からはがしてぬるま湯に入れると、約10分で1匹が殻から出てきて歩き始めた(もう1匹は本当に死んでいた)。 🥬 目を覚ましたカタツムリはガラス瓶で飼われ、キャベツの葉を好んで食べた。1852年3月に死んでいるのが見つかるまで、約2年を博物館で過ごした。 背景:砂漠のカタツムリと「夏眠」 主役は、エジプトなどの乾いた砂漠地帯にすむ陸のカタツムリ、学名エレミナ・デセルトルム(Eremina desertorum)です。当時は「ヘリックス・デセルトルム」と呼ばれていました。「デセルトルム」はラテン語で「砂漠の」という意味で、英語でも「砂漠のカタツムリ」の名で知られていました。 雨がめったに降らない土地で生きるため、このカタツムリは乾燥の厳しい時期を殻にこもってやり過ごします。殻の口を粘液が乾いてできた膜でふさいで水分が逃げないようにし、体の働きを大きく落として眠り続けるのです。冬の寒さをしのぐ「冬眠」に対して、暑さや乾燥をしのぐこうした休眠は「夏眠」と呼ばれます。 一方、19世紀の貝のコレクションは、基本的に殻だけを集めて並べるものでした。外国から届く殻は中身が取り除かれているのが当然とされ、台紙に固定して種名や日付を添え、棚に収めるのが普通のやり方です。1846年3月に大英博物館へ寄贈された、エジプトやギリシャなどで集められた貝殻の中にこのカタツムリが2個あり、ほかの貝と同じ扱いを受けました。なお、当時は動物や植物の標本も大英博物館が所蔵していましたが、自然史部門はのちに独立した建物へ移り、今のロンドン自然史博物館になっています(1881年開館)。 もう少し詳しく 決め手は「殻の口の新しい膜」。発見したのは、博物館の動物学者ウィリアム・ベアードです。1850年6月付で英国の博物学誌に寄せた報告によると、3月15日ごろ、同じ棚の別の貝を調べていたところ、片方の殻の口に薄いガラスのような膜が張っていて、しかも最近できたばかりに見えたといいます。驚いたベアードが2個とも台紙からはがしてぬるま湯に入れると、10分ほどで1匹が殻から出てきて、数分後には鉢の中を歩き始めました。もう1匹は本当に死んでいました。ベアードは、寄贈者の手元に殻がどれくらいの期間あったかは分からないとも書いており、実際の眠りは4年より長かった可能性もあります。 好物はキャベツ、レタスはいまひとつ。目を覚ましたカタツムリは、翌日からキャベツの葉を少しずつ食べ始めました。ベアードによると、レタスやほかの野菜よりキャベツを好んだそうです。高さ約46cm(18インチ)のガラス瓶で飼われ、底にいるより上のほうまで登っているのを好み、6月には別の種類のカタツムリが同居相手として入れられて「2匹は仲良く暮らしているようだ」と記されています。採集される前に傷つき、自分で直しかけていた殻の口を、少しずつ作り足していく様子も観察されました。 「残りの2年」の半分ほどは、また眠っていた。1854年に出版された英国の本(ジェームズ・ハミルトン『エクセルシオール』)によると、このカタツムリは1851年3月に再び殻にこもり、8か月の眠りに入りました。11月9日に一度目を覚ましてキャベツを食べ、瓶の中を歩き回ったものの、15日には再び殻にこもり、二度と出てきませんでした。1852年3月、すっかり干からびて死んでいるのが見つかっています。 一躍「時のカタツムリ」に。生き返ったカタツムリは画家アニー・ウォーターハウスにスケッチされ、1851年に出た軟体動物の手引書(S・P・ウッドワード『A Manual of the Mollusca』)に「1850年3月、大英博物館の生きた標本より」という説明付きで載りました。1889年にはカナダ出身の作家グラント・アレンが随筆でこの話を取り上げ、「砂漠のカタツムリは目を覚ますと、一躍有名になっていた」と書いています。寄贈者名・日付・個数が一致する2個の殻は、今もロンドン自然史博物館の標本データベースに登録されています。 8年近い缶詰めでも生き残った。この種の耐久力は、のちの記録でも確かめられています。1912年3月のロンドン軟体動物学会の会合では、1904年にカイロ近郊で集めた40匹を缶に入れ、餌を与えないまま1912年1月まで置いていたところ、10匹がまだ生きていたと報告されました。生き残った10匹にレタスの葉を与えても手をつけず、砂漠の砂はむさぼるように食べたそうです。ただし会合の時点で、10匹のうち7匹はすでに死んでいました。 海外の反応 1. 海外の名無しさん 今ごろどこかで、例の「不死身のカタツムリ」の契約をした男が「接着剤をはがしたのは誰だ!」って真っ青になってるぞ。4年間の平和が終わった。 2. 海外の名無しさん(>>1への返信) え、あの契約って不死身にもなれるんだっけ? 大金がもらえるだけの話だと思ってた。だとしたらその男、4年間は安心して金を使えてたわけか。うらやましい。 ※注:海外のネットには「大金(版によっては不老不死も)をもらえる代わりに、触れたら即死する不死身のカタツムリに一生ゆっくり追いかけられる。この契約を受けるか?」という有名な思考実験ネタがあります。 3. 海外の名無しさん 1889年にこの話を紹介した作家グラント・アレンの文章が最高なんだよ。「博物館当局は我らが友に温かい風呂を用意させた(今後、科学は冷たいなどと誰に言えようか!)。恩に感じたカタツムリは懐かしい湿り気に目を覚まし、そっと殻から頭を出して鉢のふちまで歩き、目のついた4本の触角で英国の公共機関をざっと視察し始めた。長い眠りからのこれほど奇妙な回復に並ぶのは、エフェソスの七人の眠り人くらいのものだ」 4. 海外の名無しさん(>>3への返信) 今の科学者もこういう文章を書いてくれたらいいのに。論文が全部この調子だったら、寝る前に毎晩読むわ。 5. 海外の名無しさん(>>3への返信) 野暮を承知で言うと、カタツムリの目があるのは長いほうの触角2本の先だけ。短い2本は匂いや地面の様子を探るためのもの。まあ、この名文の前では細かいことか。 ※注:「エフェソスの七人の眠り人」は、迫害を逃れて洞窟で眠りについた若者たちが、長い年月の後に目を覚ましたという、キリスト教やイスラム教に伝わる伝説です。 6. 海外の名無しさん 肝心の「台紙に4年も貼られてたのに、なんで生きてるって分かったのか」がどこにも書いてない。そこが一番知りたいんだけど。 7. 海外の名無しさん(>>6への返信) 発見した学者本人が、当時の博物学の雑誌に報告を書いてるよ。同じ棚の別の貝を調べてたら、片方の殻の口に薄いガラスみたいな膜が張ってて、しかもできたてに見えたんだって。驚いて2個ともはがしてぬるま湯に入れたら、動き出したのは1匹だけ。もう1匹は本当に死んでた。 8. 海外の名無しさん(>>7への返信) 何十年も後に書かれた随筆だと「台紙がうっすら変色していたから」になってて、微妙に話が違うんだよな。語り継がれるうちに変わったんだろうけど、ここは本人の報告を信じたい。 9. 海外の名無しさん そもそも「なんで生きものを台紙に貼ったのか」を誰か説明してくれ。カタツムリからしたら完全に理不尽だろ。 10. 海外の名無しさん(>>9への返信) 当時の貝のコレクションは殻だけを集めるもので、外国から届く殻は中身を処分済みなのが当たり前だったらしい。だから台紙に貼って、種名と日付を添えて棚に並べるのが普通のやり方。まさか中で昼寝してるやつがいるとは、誰も思わなかったわけ。 11. 海外の名無しさん カタツムリからの手紙を預かってきた。「整理させてほしい。僕が昼寝をしていたら、君たちがやって来た。最初に思いついたのが、僕を台紙に貼りつけて、干からびていく体を悪趣味な芸術作品みたいに飾ることだった。その試練を生き延びたご褒美が……独房? まあ、キャベツはありがとう。――エフェソスの眠れるカタツムリ卿より」 12. 海外の名無しさん(>>11への返信) でも天敵もいないし事故もないし、キャベツ食べ放題で余生を過ごせるなら悪くないと思う。外に放されてたら、翌日には誰かに踏まれるか、鳥に食われてたかもしれないし。 13. 海外の名無しさん(>>12への返信) しかも独房じゃなかったらしいぞ。担当の学者が同居相手に別の種類のカタツムリを瓶に入れてやって、「2匹は仲良く暮らしているようだ」って報告してる。まさかのルームシェア。 14. 海外の名無しさん 餌も水もなしで台紙に貼られてたほうが長く生きて、瓶の中で自由にキャベツを食べ始めたら2年で死ぬって、なんか納得いかない。 15. 海外の名無しさん(>>14への返信) 乾くと体がほぼ停止状態になるんだと思う。止まっている間は老化もほとんど進まない。キャベツを食べて動き回ると代謝が戻って、そこから普通に歳をとり始める、ってことじゃないかな。 16. 海外の名無しさん(>>14への返信) しかもその2年の半分ほどは、瓶の中でまた寝てたらしい。1851年3月から8か月眠って、11月に一度起きてキャベツを食べたと思ったら、6日後にまた殻にこもってそれっきり。起きてた時間は実質1年ちょっとだな。 17. 海外の名無しさん メモ:不死身かと思われたカタツムリも、キャベツを食べ始めると2年で死ぬ。つまり接着剤はキャベツより体にいい。明日から朝食を見直そう。 18. 海外の名無しさん この種にはもっとすごい記録もある。1904年にカイロの近くで集めた40匹を缶に入れて、餌なしで8年近く置いておいたら、10匹がまだ生きてたんだって。何年も平気で眠れるって、どういう体してるんだ。 19. 海外の名無しさん(>>18への返信) 残りの30匹は死んだんじゃない。缶から脱走して、今も人類への復讐の計画を練ってるんだ。例の不死身のやつも、たぶんその中にいる。 20. 海外の名無しさん(>>18への返信) しかも生き残った10匹にレタスを出したら見向きもせず、砂漠の砂をむさぼるように食べたらしい。8年ぶりのごはんが砂って渋すぎる。殻を作る材料でも欲しかったのかね。 21. 海外の名無しさん 正直ちょっと共感できる。布団にくっついたまま4年くらい寝ていられる自信があるし、起こされてもキャベツ程度の食事で満足できる。 22. 海外の名無しさん(>>21への返信) お前も瓶の中に住んでるのか? 高さ46cmもある瓶なら結構広いぞ。上のほうまで登れるし、キャベツも毎日出てくる。 23. 海外の名無しさん カタツムリの小話を思い出した。男が玄関のノックに出ると、足元にカタツムリがいた。腹が立ったので、道の向こうの森まで放り投げた。8か月後、またノックの音。ドアを開けるとあのカタツムリがいて、こう言った。「さっきのは何だったんだよ」 24. 海外の名無しさん うちでカタツムリを何匹も飼ってるけど、あいつら死んだふりが本当に好きなんだよ。殻にこもって何日も動かないから、毎回ヒヤッとする。博物館の人たちが死んでると思い込んだのも分かる。 25. 海外の名無しさん こういう話を聞くと、いつも考えてしまう。4年眠って目を覚ましたカタツムリに、眠る前の記憶はどれくらい残ってるんだろう。僕らは「また動き出したから生きてる」で片づけるけど、本人にとっては、エジプトの砂漠で目を閉じて、ロンドンの鉢の中で目を開けたことになるんだよな。 まとめ 死んだものと思われて台紙に貼られたエジプトの砂漠のカタツムリは、4年後、殻の口にできた新しい膜から生きていると分かり、ぬるま湯で目を覚ましました。その後の約2年も半分ほどは眠って過ごしており、乾燥に耐えて眠り続ける力は、のちの缶の実験でも確かめられています。コメント欄では不死身カタツムリのネタや抗議文で笑いを取りつつ、「なぜ貼ったのか」「どうして気づけたのか」を掘り下げる声が目立ちました。 元ソース: 1846年、大英博物館で死んだと思われたカタツムリが台紙に貼られた。4年後に生きていたことが分かり、お風呂に入れられたカタツムリは、残りの2年を瓶の中でキャベツを食べて過ごした The post 「台紙に糊で貼られて4年、ぬるま湯に浸けたら10分で這い出してきた」大英博物館の”死んだはずの”カタツムリ、その後の2年間は…? appeared first on みんな知ってた?【海外の反応】.…