
「お前らのオカルト話おいてけ」スレから。イカが苦手な人は、今のうちに覚悟しておいたほうがいい話。 62: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:27:07.30 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K 子供のころ、よく見る夢があったんだ。どんどん俺の部屋に水が溜まっていって、海になるんだ。でも俺は息ができる。海になった後にどんどん俺の部屋は沈んでいくんだ。それでどんどん沈んでいって暗くなって、それで終わりの時もあれば、終わる前に巨大なイカみたいなでかくて長い触手が視界の奥にちらつくこともあった。でもそれだけだった。その時は俺はイカがそんなに怖くなかった。その夢も中学生くらいの時に見なくなった。俺がイカが怖くなったのは大学1年の夏、祖母が死んだ時からだ。祖母は偏屈な人で、祖父をなくしてからはいっそう偏屈になって一人で海の近くに住んでたんだがぽっくり亡くなった。死因は忘れたが部屋で一人で逝っちまったみたい。その葬式であの夜、俺は祖母の家に泊まってたんだ。蒸し暑い夜だったが、まあクーラーもあったし、祖母が死んだとはいえ生前かかわったこともなく悲しくもなかったので俺はすんなり眠りについた。 引用元: ・★【平成最後の】お前らのオカルト話おいてけ【夏】 63: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:31:33.24 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K 夜中目が覚めたんだ。目が覚めて、最初に感じたのは凄まじい生臭さだった。磯のかおりとか、そんな生ぬるいものじゃなくって本当に海藻とか生魚とかありったけ集めてその匂い全部抽出して部屋にまいたんじゃないかって思うくらいの生臭さだった。それに加えて体が動かないんだ。ただ体が動かないんじゃなくて俺は何かに巻きつかれていて、それはでっかいイカみたいな、化け物の触手だった。俺の腕より太い触手が何本も俺の体に巻き付いて、ぎちぎちに巻き付かれてるんだが、その触手についてる吸盤みたいなのが開いたり閉じたりしてるのを感じたんだ。それで締め上げが規則的にきつくなったり緩くなったりしていて、ああこいつは呼吸してるんだってなぜだか冷静に分析してた。 64: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:33:34.49 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K それでどれだけ時間がたったかわからない。もしかしたら一瞬だったかもしれないし、何時間だったかもわからないが、そうしたら視界の端で何かぶよぶよしたものがてらてら反射してるのが見えたんだ。それは俺の頭三つくらいの大きさの目玉だった。目玉がぎょろぎょろして、俺のほうに向かってくるんだ。その目玉もなんだか俺の見える範囲だけでも三つあって本当に化け物だった。その一番下の目玉の、その先に黒いぽっかりとした穴があって、そこから何重にも円形に生えた白いギザギザの歯とその隙間からピロピロした細い触手が何十本何百本と出てるんだ。それが多分化け物の口だったんだろうな。その口が俺のほうに向かってきてるんだ。俺がどんなに怖かったかわかってもらえるだろうか?俺はいつの間にか気絶していて、そして朝が来ていた。朝は何事もない普通の朝だった。葬式の記憶もなく、気が付いたら俺は下宿先に帰ってきていた。 65: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:40:59.83 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K それからしばらくは特に何ともなかったんだ。イカが怖くなったってだけで。まあでもイカが怖いってのは不便だな。スーパーの鮮魚コーナーに行くのは震えるほど怖いし、飲み会なんかで刺身の盛り合わせが出て、そこにイカソーメンがあるだけで震えはしないが食欲がなくなる。なんていったら伝わるかな、原形がない刺身でも、あのてらてらした白い物体を見るだけで……うん、得体のしれない昆虫が普通の刺身盛り合わせに混ざってる感じっていったら俺の怖さがわかってもらえるかな。あとは子供のころみていた海の夢をまた見るようになった。深海に落ちていく夢だ。海を泳ぐ触手もいる。最初また見るようになった日、本当に怖かったさ。あの触手はばけものだ。またあのばけものにつかまっちまうんじゃないかと、そして次につかまったならきっと食べられちまうと思ったからな。夜眠るのが怖い。 66: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:42:27.26 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K 怖いが、それ以上のことはおこらず、俺は大学を卒業して、就職した。よく見たら平成最後のってかいてあるじゃん、あーあ。まあ見られなくたって何にも変わんないしな 67: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:43:31.63 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K かわったのは、ここ数日のことだ。夢が突然変わったんだ。夢の中で、俺は俺の部屋にいた。水のない部屋。何の変哲もない俺の部屋。朝起きたから夢だと分かったくらいとても生々しい現実感のある夢だった。窓の外の風景も俺の部屋から見える景色とほとんど変わらなかった。ただ、空が赤かった。夕焼けとかそんなもんじゃないぞ、なんていうか絵具を流したみたいなのっぺりとした赤さだった。んででっかい赤いセロファンに太陽の光を通したみたいな、夕焼けとは全然違う不自然な赤色に景色が染まってたんだ。その夢が変わった初めての日はそれだけで終わった。 68: 名無しのオカルト 2020/07/05(日) 11:51:37.90 ID:jKNVlau1K ID:jKNVlau1K それからその夢を毎日見るようになった。それで、窓の外の風景に赤い、これも絵具をといたみたいな水がちょっとずつ溜まっていくんだ。水がどんどんたまっていって、俺の部屋は2階なんだが、もう窓にじかに水が当たってる状態。それと一緒に生臭さがどんどん強くなっていく。あと、まあいるよな、あの化け物が。泳いでるんだ。まどに吸盤引っ付けて、その吸盤が閉じたり開いたりしてるんだ。でっかい目もまどにぴったりはりついて部屋のなかぎょろぎょろと。昨日の夢はもう窓の外にびったり化け物が張り付いて、もう俺の窓はみしみしって音立てて。もう終わりだ。窓が割れるまでもう少しだ。最近いつが夢なのか現実なのかわかんないんだ。今が現実なのかもわからん。扉を開けて外を見たらそれは夢で、赤い水が流れ込むんじゃないかって外にも出られん。でももうすぐなんだ、あの化け物はあの窓をやぶってくるんだ。おしまいなんだ。ここまで読んでくれてありがとうな。これは俺の遺書だ。あの化け物に食われるくらいならもっとましな死に方ってあるよな。ありがとうな、ありがとう。さようなら。 管理人:子供の頃に見なくなった夢が、祖母の死をきっかけに戻ってくる導入からもう不穏。海の生臭さと吸盤の感触の描写がやたら克明で、読んでるだけで息苦しくなる。あなたなら、窓の外に何かが張り付いているのに気づいたらどうする。コメ欄で聞かせてほしい。…