1: 煮卵 ★ 6aB66oit9 2026-09-22 09:13:15 日本の歴代首相は、到底実現不可能な壮大な成果を約束して就任することが多い。安倍晋三は年2%の実質成長を約束した。岸田文雄は国民所得における家計配分の低下を食い止めると約束した。そして今度は、高市早苗が「絵に描いた餅」を振りかざす番となった。 彼女が最近提示した骨太方針では、平均実質GDP成長率を1.4%へと倍増させると主張する15年間で370兆円規模の官民投資計画が提案された。 ■本当にこの通りに投資したら状況は悪化 彼女の投資計画は実現しないだろう。もし実現したとしたら、17分野のプロジェクトの大部分は単なるハイテク版の"無駄な公共事業”にすぎないため、状況を悪化させるだけだ。 高市は企業の投資が少なすぎると主張し、通常の投資を超えて自らの計画のために300兆円を差し出すよう求めている。しかし、企業が現状以上の投資によって利益を得られる機会を見出しているなら、資金はすでに十分にある。現在、大企業のキャッシュフローは投資をGDP比で7%も上回っており(下図参照)、デジタル金庫に保管された内部留保は今やGDPの1年分に相当する。 これは放置された資金だ。事実上、企業は賃金引き上げ、投資、税金を通じて還元する以上の購買力を吸い上げることで、日本経済を停滞させている。不況を防ぐため、政府は「最後の買い手」として行動せざるを得ない。実際、2015年から今日までのGDP成長全体のなんと45%を政府支出が占めている。 高市は、なぜ企業がこれほど大量のキャッシュをため込んでいるのかを問い質していない。追加製品への需要が存在しない限り、企業は設備を拡大しない。しかし、実質賃金が低迷し、社会保障が削減されたため、実質個人消費は13年当時と同等かそれ以下の水準にとどまっている。また、超円安にもかかわらず、その穴を埋めるほど輸出は拡大していない。 高市は自らの計画が新規投資を刺激するという幻想を抱いているかもしれない。しかし、それは投資に対する非現実的なほど巨大なリターンを得られるという”約束”にかかっており、企業の「経理屋」たちがそれを真に受ける可能性は低い。 もっとも、ペロブスカイト太陽電池、蓄電池、鉄鋼など脱炭素化が困難な部門向けのグリーン水素に関する研究を含め、17分野の中に価値あるプログラムが一部存在することは確かだ。鉄鋼だけでも日本のCO2排出量の14%を占めている。しかし、そうした事例の傍らには、港湾物流やアニメーションといった分野への無駄な事業(税金の無駄遣い)が並んでいる。対象が価値あるものであっても、主張される経済的見返りは著しく誇張されている(下図参照)。 ■自動運転で日本勢はWaymoに立ち向かえる? たとえば自動運転への8兆円の投資が、今後15年間でその23倍にあたる187兆円のGDPをもたらすと主張されている。ソフトウェアにおける日本の低調さを考慮すると、日本の自動車メーカーはGoogleのWaymoのような実績のある企業に本当に立ち向かえるのだろうか。 Waymoは1秒あたり20ギガバイトを処理し、そのような「ビッグデータ」を走行指示に変換している。対照的に、IMD(国際経営開発研究所)の25年世界デジタル競争力ランキングによると、ビッグデータを活用する能力の尺度において、日本企業は58カ国中56位である。 AIは新しすぎるため、その効用やどの企業が成功するかを予測することはできない。ソフトウェアで出遅れている国が、AIへの34兆円の投資を366兆円の追加GDPに変えられると、日本政府はどうして言えるのだろうか。 製薬への44兆円の投資はGDPを385兆円押し上げることになっているが、世界市場における日本製薬企業のシェアは1990年代の18%から現在の4%へと急落している。70年代には半数を占めていた日本製チップの世界市場シェアが現在は10%未満にまで崩壊している中で、AI半導体への68兆円の投資が443兆円に成長するなどということがあり得るだろうか。 続きは↓ [東洋経済] 2026/9/22(火) 9:00…