1 名前:煮卵 ★:2026/09/21(月) 22:57:35.84 ID:EIsvrb4A9.net 「人との接触を8割減らすことが重要だ」。 新型コロナウイルスの第1波が猛威をふるっていた2020年4月15日、厚生労働省の専門家班のメンバーで、北海道大教授(現・京都大教授)の西浦博(48)は、省内での記者会見で強調した。 その後の会見でも、「8割削減」の目標を何度も訴えた西浦は「8割おじさん」と呼ばれた。 同年1月に国内で初めての感染者が確認された新型コロナは瞬く間に全国に広がった。政府は計4回の緊急事態宣言を発表。外出やイベントの自粛、飲食店の時短営業などを余儀なくされた。 厳しい行動制限を呼びかけた政府のスローガン「人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減」は、西浦の試算が根拠だった。「多くの命を救った」と評価された一方、「そこまでやる必要があるのか」との批判も受けた。 最後の緊急事態宣言が21年9月末に解除されてまもなく5年。8割削減の呼びかけは正しかったのか。検証を試みようと、記者は西浦に取材を申し込んだ。 ◼「命救った」医療現場は評価 西浦博は、日本で数少ない、数学的手法を駆使して感染症の発生状況を把握する理論疫学の専門家だ。新型コロナウイルスの流行が始まっていた2020年、国内外のデータを基に、感染を1か月で収束させるためには、人と人との接触機会を8割削減しないと達成できないと試算した。 科学医療部記者の辻田秀樹(49)は今年5月、京大の西浦の研究室を訪ね、「8割削減の試算は正しかったのか」との疑問をぶつけた。 西浦は「理論的にほぼ誤りはないと今でも考えている」ときっぱり答えた。 ◼譲れぬ「8割」 試算が公表される直前の20年3月、当時東京本社医療部の感染症担当だった辻田は西浦に初めて会った。 西浦は、新型コロナの情報を収集し、動向を分析する厚生労働省のクラスター(感染集団)対策班の主要メンバー。辻田は省内で話しかけては、対策の方向性を探っていた。 西浦の試算は、4月7日に当時首相だった安倍晋三が初の緊急事態宣言とともに発表した政府のスローガン「人と人との接触機会を『最低7割、極力8割』削減」に採用された。辻田は発表前日の深夜、スローガンの内容が決まった経緯を西浦からこう聞いていた。 8割の行動制限が与える経済損失は大きく、西浦は、経済再生相(当時)の西村康稔(63)や内閣官房の幹部から、試算した「8割」について「8割はきつすぎる。6~7割ではダメか」と求められた。 だが西浦の試算では、6割の行動制限では感染は収まらず、7割では収束に2か月かかる。緊急事態宣言は1か月程度の解除を目指しており、命を守りたい一心だった西浦は「8割は譲れない」と突っぱねた。スローガンはその折衷案となったというのだ。 西浦は、対策を取らなければ「最大42万人が死亡する」との試算も公表。「8割おじさん」「物言う科学者」として、記者会見などで説明する様子がテレビでたびたび放映された。 ◼発信の難しさ 欧米などでは感染抑止策として、外出を禁止するなどのロックダウン(都市封鎖)が行われた。日本では、国内法でこうした強制はできず、政府は緊急事態宣言による行動制限を国民に要請する形で対応。飲食店での酒類提供停止や都道府県をまたぐ移動の自粛、病院・福祉施設での面会制限などを求めた。 人との接触機会を減らすことが新型コロナの感染抑止につながったのは間違いない。特に医療関係者は「8割削減のスローガンが多くの命を救った」と好意的に受け止めたが、厳しい行動制限で苦しい生活を強いられた人たちからは反発する声も出た。 第1波が収束し、最初の緊急事態宣言が解除された5月25日時点での実際の死者は約850人だった。「試算は誤りだ」「経済を冷え込ませた」。西浦への批判がSNSを中心に相次いだ。殺害予告も複数回あり、西浦に警備がついた時期もあった。 政府は8割削減の効果をどう見ているのだろう。 辻田は、新型コロナ対応を検証した政府の有識者会議がまとめた資料などを改めて調べた。「人流を7~8割減らすことを目指し、感染拡大の抑制に取り組んだ」との記述にとどまり、西浦の試算への評価はなかった。内閣官房の担当者は「様々な対策を取っており、8割削減の効果だけを切り出して事後的に評価することは難しい」と回答した。 続きは↓ [読売新聞] 2026/9/20(日) 11:23 引用元:…