1: 蚤の市 ★ UqtZZvgo9 2025-10-30 08:03:53 <点検サナエノミクス>�@積極財政と規律=全6回 高市早苗首相は物価高対策を最重要課題に掲げています。「責任ある積極財政」の下、ガソリンや軽油の暫定税率廃止など、巨額予算を伴う政策が並びます。財政規律は守られるのでしょうか。高市氏の経済政策「サナエノミクス」を点検します。(山中正義) ◆所信表明では従来の政府の考えを踏襲 Q 高市氏は積極財政を進める方針です。 A 24日の所信表明演説で、高市氏は戦略的な財政出動を起点とした好循環を目指すと強調しました。ただ、日本は1990年代以降、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や、度重なる経済危機への対応などで借金が増大。歯止めをかけるべく、政府は財政健全化目標を掲げてきました。 Q 高市氏の財政健全化の考え方は。 A 所信表明では「政府債務残高の対国内総生産(GDP)比を引き下げていく」と、従来の政府の考えを踏襲しました。国の経済規模に対する借金の割合を示す「債務残高対GDP比」は財政の健全性を示す国際的な指標です。ただ、高市氏は自民党総裁選で「純債務残高」の対GDP比を重視し、こちらを引き下げると訴えました。 ◆数字が独り歩きしない冷静な議論が必要 Q 債務残高と純債務残高は違うのですか。 A 歳入不足を補うために発行した国債などの借金総額が債務残高です。一方、純債務残高は、債務残高から政府の現預金や有価証券などの金融資産を差し引いたものです。国際通貨基金(IMF)によると、2023年の債務残高対GDP比は240%で、172カ国・地域中で最悪。純債務残高では136%に下がるものの、84カ国・地域中で最下位です。どちらの指標でも状況は同じです。 ところが、高市氏は10月9日のテレビ番組で、経済協力開発機構(OECD)公表とみられる2024年のデータを基に、純債務残高対GDP比は「86.7%」と述べ、米国やイタリアを下回るとの認識を示しました。他国より良い財政指標を示すことで、積極的に財政出動できるとの思いがにじみます。 Q OECDデータではなぜ下がるのですか。 A 債務から差し引く金融資産に年金積立金などを含めるためです。運用規模が世界最大級の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産を差し引けば、見かけの債務は減ります。ただ、現実的に年金資産を借金返済に使うことは難しく、財政健全化指標として不適切との見方もあります。 Q ほかに注意点はありますか。 A 第一生命経済研究所の星野卓也氏によると、純債務残高は時価と簿価のどちらで評価するかでも変わります。例えば時価では、円安になれば海外に保有する資産額が膨らみ、純債務残高は改善します。星野氏は「純債務と言っても定義はいろいろ。定義はしっかりした方がいい」と指摘します。数字が独り歩きしない冷静な議論が必要です。 東京新聞 2025年10月30日 06時00分…