1 名前:昆虫図鑑 ★:2023/08/17(木) 08:26:47.52 ID:phFVwT/L.net 先月末に科学論文サイトで常温・常圧超電導物質として発表されるや、世界中で大きな注目を集めたLK-99。しかしその後の各国研究機関による追試実験の結果、残念ながらこの物質には超電導性が認められないことが判明しました。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』ではWindows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、その決定打となった二つの論文の内容を詳しく解説。さらにLK-99の追試論文のほとんどが中国の研究者で占められている点に注目するとともに、アメリカで追試が遅れた意外な理由を明かしています。 幻に終わった常温・常圧超電導物質 LK-99 7月22日にarXivに発表されて以来、世界を騒がせてきたLK-99ですが、世界中の研究者たちによる追試により、常温・常圧超電導物質ではないこと、および、なぜ研究者たちに常温・常圧超電導物質と思わせるような振る舞いをしたかが、わずか2週間強で判明しました。 決定打となったのは、以下の二つの論文です。 1.Ferromagnetic half levitation of LK-99-like synthetic samples 2.First order transition in Pb10-xCux(PO4)6O (0.9<x<1.1) containing Cu2S 一つ目は、磁石の上で半分浮遊するという、(超電導物質の証である)マイスナー効果に似た振る舞いをした理由を、元の論文の手順通りにLK-99を作った上で、説明しています。作ったLK-99の中で、実際に半分浮遊するものがあったものの、磁性を測定したところ、磁化された結果、半分浮くようになったと説明しまし。ちなみに、LK-99が超電導物質であれば、完全に浮いて、空中にピン留めされるはずですが、その現象は、元の論文でも観測されていません。 二つ目は、室温よりも高い温度(385K=摂氏112度)以下で急激に電気抵抗が減る理由を、これも元の論文の手順通りにLK-99を作った上で、不純物として混入したCU2S(硫化銅)によるものだと指摘しています。硫化銅は、385K付近で相転移を起こし、それ以下の温度で電気抵抗が大きく下がりますが(ただし、ゼロではない)、元の論文を研究者たちは、それを超電導と勘違いしたと結論付けています。 先週のメルマガに書いた通り、LK-99の興味深い振る舞いは、韓国の研究者、Sukbae Lee氏と Ji-Hoon Kim氏が1999年に発見し、それ以来、20年以上に渡って、彼らは実験を繰り返して超電導物質であること(もしくは、ないこと)を証明しようと試みて来ましたが、彼らの研究がYoung-Wan Kwon氏の裏切りにより、arXivに公開された事により、わずか2週間強で、決着が着いてしまったのです。 上の二つの論文を含め、追試論文の大半が中国の研究者によるものであった点は特筆すべきです。中国全体がこの手の基礎研究に大きな力を注いでいる点は見習うべきだし、かつ、同時に、オープンな形で研究結果を発表してくれるあたりは、大歓迎しても良いと思います。 ちなみに、米国で追試が遅れた原因の一つが、LK-99を作る際に必要な「リン(P)」が米国では入手しにくい点を指摘しておきます。リンは私たちの体の中にもたくさんある、ありふれた物質ですが、精製されたリンは、覚醒剤であるメタンフェタミン(通称Meth)を作る際に利用される、という理由で、米国では特別の許可なく入手することが不可能になっているのです。 雑学ですが、メタンフェタミンの合成方法を見つけたのは、長井長義という日本の化学者です。発見された当初は、覚醒作用や依存性については知られても注目されてもおらず、第二次世界大戦中には、兵士の士気向上や疲労回復の目的で、ドイツ軍や米軍などで幅広く使われていました。日本では、ヒロポンという商品名で流通しており、戦時中は同じく兵士に使われ、敗戦後は日本軍が備蓄していたヒロポン注射剤が市場に放出された結果、乱用が拡散したそうです。 (『週刊 Life is beautiful』2023年8月15日号の一部抜粋です。続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です) 【国際】「LK99は超伝導体ではない」 海外で検証結果が相次ぐ [動物園φ★] 引用元:…